新潟大学医学部の遺伝子倫理審査委員会に申請書を提出し、本研究の承認を得た。Journal of Reproductive Medicine(2013;58:491-496)にA C/T Single Nucleotide Polymorphism at Tyrosine Kinase Domain of Insulin Receptor Gene is Associated with Pathogenesis among Lean Japanese Women With Polycystic Ovary Syndrome.が掲載された。これは、多嚢胞性卵巣症候群61症例とコントロール99症例のインスリン受容体遺伝子のHis 1058 C/T(tyrosine kinase Domain)多型を解析し、BMI 20以下の日本人の多嚢胞性卵巣症候群症例の発症にインスリン受容体遺伝子のHis 1058 C/T多型が関与していることを報告したものである。当科における子宮内膜癌症例を検討では、子宮内膜癌症例における若年症例の割合は、1990~1999年:6.1%(11症例/180症例)、2000~2009年:7.0%(22症例/313症例)、2010~2014年:10.0%(19症例/190症例)であり、臨床所見が確認できた若年症例34症例中15症例(44.1%)において多嚢胞性卵巣症候群が合併していた。BMI は25以下が8症例、他の7症例は30以上であり、肥満症例の頻度が高かった。当科症例の検討において、若年子宮内膜癌症例数が増加していること、および若年子宮内膜癌症例における多嚢胞性卵巣症候群の合併頻度が高いことが確認された。多嚢胞性卵巣症候群は多因子疾患であると考えられるが、若年子宮内膜癌発症に関する疾患感受性遺伝子の解析が必要であると判断された。
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