研究課題/領域番号 |
24592462
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
塩崎 有宏 富山大学, 大学病院, 講師 (00235491)
|
研究分担者 |
齋藤 滋 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 教授 (30175351)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 妊娠高血圧症候群 / 妊娠高血圧 / 妊娠高血圧腎症 / 胎児性別 / 子癇 |
研究概要 |
1)本学の倫理委員会の承認後、日本産科婦人科学会周産期委員会の承認を得たのち、2001年から2010年までの10年間分の周産期登録データベース(DB)(約60万件)を入手した。2)DBがファイルメーカーで作成されており、また、DBが統一されたフォーマットで作成されていないため不必要な項目を削除した。3)この中から妊娠高血圧(GH)、妊娠高血圧腎症(PE)、子癇の症例を抽出し、新たな10年間分のエクセルDBを作成した。4)このエクセルDBを用いて、単胎妊婦、双胎妊婦におけるGH、PE、子癇の発症率を胎児の性別に分けて検討した。その結果GHや子癇の発症率は、単胎妊婦、双胎妊娠ともに男児妊娠と女児妊娠との間で差がなかった。それに対しPEの発症率は、単胎妊婦、双胎妊婦ともに男児妊娠に比べ女児妊娠に多いことが再確認された(平成25年5月発表予定)。5) GH(h、H)(小文字hは軽症高血圧、大文字Hは重症高血圧)、PE(hp、hP、Hp、HP)(小文字pは軽症蛋白尿、大文字Pは重症蛋白尿)を目的変数とし、分娩時年齢、分娩回数、胎児性別、妊娠中喫煙、高血圧、糖尿病、腎疾患、非妊娠時Body Mass Indexを説明変数としてロジスティック回帰分析を行い、GHあるいはPEとなる発症予測式を計算している最中である(平成25年6月までには完成予定)。これらの予測式を用いることより、その妊婦さんが妊娠経過中に何倍GHあるいはPEになりやすくなるかという発症オッズ比を簡単に計算できることができるようになることが期待される(平成25年7月発表予定)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)2001年から2010年までの10年間分の周産期登録データベース(DB)(約60万件)を入手し、不必要な項目を削除したDBを作成した。これには数か月を要したが、予定通りDBの原本を作成することができた。2)この中から妊娠高血圧(GH)、妊娠高血圧腎症(PE)、子癇の症例を抽出し、新たな10年間分のエクセルDBを作成した。3)このエクセルDBを用いて、単胎妊婦、双胎妊婦におけるGH、PE、子癇の発症率を胎児の性別に分けて検討し、これまで報告してきた5年分のものとほぼ一致した成績が得られた。つまりGHや子癇の発症率は、単胎妊婦、双胎妊娠ともに男児妊娠と女児妊娠との間で差がなかったのに対し、PEの発症率は、単胎妊婦、双胎妊婦ともに男児妊娠に比べ女児妊娠に多いことが再確認された。4) それに関連した研究として、これら約60万例のDBを用いて、GH(h、H)(小文字hは軽症高血圧、大文字Hは重症高血圧)、PE(hp、hP、Hp、HP)(小文字pは軽症蛋白尿、大文字Pは重症蛋白尿)を目的変数とし、分娩時年齢、分娩回数、胎児性別、妊娠中喫煙、高血圧、糖尿病、腎疾患を説明変数としてロジスティック回帰分析を統計解析会社に依頼しはじめたところである(平成25年6月までには解析完了予定)。その結果を用いて、妊婦さんの条件を予測式に入れることで、妊娠経過中に何倍GHあるいはPEになりやすくなるかという発症オッズ比を簡単に計算できることができ、妊婦自身の健康管理の手助けになるかもしれない(平成25年7月に発表予定)。
|
今後の研究の推進方策 |
1)これまでの報告では、男児妊娠の場合にPEが多いと言われてきている。しかしながら、今回の研究結果では女児妊娠の場合にPEが多いことが判明した。海外と国内の差があることから、この差がどこから由来しているかを検討していく予定である。 2)残っている研究の後半部分である、免疫学的手法を用いた研究を行う。T細胞のサイトカイン産生パターン、Th1/Th2/Th17/Tregバランスおよび血清granulysin値とPIH(GHおよびPE)の重症度、病態および病状悪化速度との関連性、また胎児性別との関連性について検討を行う予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
研究費の使用内訳は、①統計解析を依頼している解析会社への委託料、②免疫学的手法にて検討を行うため、それに必要な抗体や試薬の購入、および研究助手への研究補助金、③研究成果の発表に必要な旅費、などです。
|