研究課題/領域番号 |
24592462
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
塩崎 有宏 富山大学, 大学病院, 講師 (00235491)
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研究分担者 |
齋藤 滋 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 教授 (30175351)
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キーワード | 妊娠高血圧腎症 / 妊娠高血圧 / 子癇 / 胎児性別 / 非妊時BMI |
研究概要 |
1)昨年度に作成したエクセルデータベースを用いて、単胎妊婦、双胎妊婦における正常血圧妊婦(NBP)、妊娠高血圧(GH)、妊娠高血圧腎症(PE)、子癇の発症率を胎児の性別に分けて検討し、GHや子癇の発症率は、単胎妊娠や双胎妊娠ともに男児妊娠と女児妊娠との間で差がなかった。それに対し、PEの発症率は単胎妊娠、女児妊娠ともに男児妊娠に比べ女児妊娠に多いことを再確認し、平成25年4月に発表した。2)GH、PEを目的変数とし、分娩時年齢、分娩回数、胎児性別、妊娠中喫煙、糖尿病、腎疾患、非妊時body mass index(BMI)、切迫早産、頸管無力症を説明変数としてロッジスティック回帰分析を行い、妊婦がGHあるいはPEを発症する予測式を開発した。この予測式を用いることで妊婦さんがどれくらいのオッズ比で発症するかを具体的な数字で説明できるようになると思われる(平成26年4月発表予定)。3)PEの発症にはヘルパー1型T細胞(Th1)とヘルパー2型T細胞(Th2)の比がTh1優位な状態になるときに発症することが知られている。当科および関連施設においてPEを発症した患者(62例)において、なぜ女児妊娠で多いかを免疫的な方法で検討した。その結果、Th1/Th2比には胎児性別と母体非妊時BMIが関連しており、女児を妊娠しているBMIの低い(やせた)妊婦および男児を妊娠しているBMIの高い(太った)妊婦においてTh1/Th2比は高くなる(Th1優位になる)ことが新たに分かった。これに対し、母体年齢、児体重、胎盤重量はTh1/Th2比に影響を与えていなかった。この結果から、今後胎児性別や母体のBMIがTh1/Th2比にどのようなメカニズムで作用しているのかを検討する予定である(平成26年7月、9月、10月に発表予定)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)昨年度に作成したエクセルデータベースを用いて、単胎妊婦、双胎妊婦における正常血圧妊婦(NBP)、妊娠高血圧(GH)、妊娠高血圧腎症(PE)、子癇の発症率を胎児の性別に分けて検討し、GHや子癇の発症率は、単胎妊娠や双胎妊娠ともに男児妊娠と女児妊娠との間で差がなかった。それに対し、PEの発症率は単胎妊娠、女児妊娠ともに男児妊娠に比べ女児妊娠に多いことを再確認し、平成25年4月に学会発表した。2)GH、PEを目的変数とし、分娩時年齢、分娩回数、胎児性別、妊娠中喫煙、糖尿病、腎疾患、非妊時body mass index(BMI)、切迫早産、頸管無力症を説明変数としてロッジスティック回帰分析を行い、妊婦がGHあるいはPEを発症する予測式を開発した。この予測式を用いることで妊婦さんがどれくらいのオッズ比で発症するかを具体的な数字で説明できるようになると思われる(平成26年4月発表予定)。3)PEの発症にはヘルパー1型T細胞(Th1)とヘルパー2型T細胞(Th2)の比がTh1優位な状態になるときに発症することが知られている。当科および関連施設においてPEを発症した患者(62例)において、なぜ女児妊娠で多いかを免疫的な方法で検討した。その結果、Th1/Th2比には胎児性別と母体非妊時BMIが関連しており、女児を妊娠しているBMIの低い(やせた)妊婦および男児を妊娠しているBMIの高い(太った)妊婦においてTh1/Th2比は高くなる(Th1優位になる)ことが新たに分かった。これに対し、母体年齢、児体重、胎盤重量はTh1/Th2比に影響を与えていなかった。この結果から、今後胎児性別や母体のBMIがTh1/Th2比にどのようなメカニズムで作用しているのかを検討する予定である(平成26年7月、9月、10月に発表予定)。予定していた免疫学的手法を用いた妊娠高血圧腎症の検討を開始することができた。
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今後の研究の推進方策 |
1)平成26年度では、PE患者のTh1/Th2比には胎児性別と母体非妊時BMIが関連しており、女児を妊娠しているBMIの低い(やせた)妊婦および男児を妊娠しているBMIの高い(太った)妊婦においてTh1/Th2比は高くなる(Th1優位になる)ことを、2001年から2010年度の周産期データベース(約55万症例)を用いた研究に応用させ、PEでは胎児性別と母体の非妊時BMIが関与していることを確認したいと考えている。2)もしデータベースを用いた結果が正しいことが判明した場合には、全国の周産期センターに協力をお願いし、PE患者のTh1/Th2値を含めたデータを採取して免疫学的手法でPEの発症機構を解明する研究を、新たに平成27年度の科研費を獲得した後に行いたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度に国際学会での発表が2件あることが判明し、多額の費用がかかることが予想されたので、今年度の支出を切り詰めた。 研究費の使用内訳は、①統計解析を依頼している解析会社への委託料、②免疫学的手法を検討して行うために必要な抗体や試薬の購入、および研究助手への研究補助金、③研究成果の発表に必要な経費、などです。
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