研究課題/領域番号 |
24592465
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
正田 朋子 山梨大学, 医学工学総合研究部, 助教 (50345716)
|
研究分担者 |
平田 修司 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (00228785)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 精子形成 |
研究概要 |
重症乏精子症や精子無力症などの重症男性不妊症において射出精子もしくは精巣内精子を用いて ICSI を行うことにより、多くの妊娠成功症例が得られているが、精子形成関連遺伝子の異常のために成熟精子が形成されない遺伝子異常症例では、その形質が児に伝搬する可能性がある。このような症例に対して、正常遺伝子の導入により精子の形態・機能を正常化し、しかも子孫への伝搬を断ち切ることができる治療法の開発が本研究の目的である。 今回、基礎的研究として、精子形成過程で特異的に発現するHook1遺伝子を欠損したマウス(azh ホモ接合体 (azh -/-) のオスC57BL/6J )を用いている。マウスHook1 遺伝子は、第 4 染色体上に存在し、22 個のエキソンから構成されている。Azh -/- オスマウスは、これらのエキソンのうち、エキソン 10 および 11 が欠失している。昨年度は、精子形成過程で特異的に発現するこのHook1遺伝子のプロモーター領域のクローニングに成功した。 具体的には、マウス Hook1 遺伝子のプロモーター領域は、その塩基配列よりエキソン1に存在する転写開始点より上流 740 bp から転写開始点の下流100 bp までと推定し、マウス精巣 DNA を鋳型とした polymerase chain reaction (PCR) 法を用いて増幅した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度計画項目、「マウス Hook-1 遺伝子のゲノムクローニング」は終了した。azh -/- マウスにおける Hook-1遺伝子の欠失部位、エキソン 10 と 11 を含む 2011 bp の領域を含むゲノム DNA を、野生型 C57BL/6 マウスのゲノムライブラリーより、約 10 kb 程度にわたってクローニングした。さらに、Hook1遺伝子のプロモーター領域と推定されるcDNAについてもクローニングを行った。これらが組み込まれたプラスミドを構築したところである。
|
今後の研究の推進方策 |
今回のクローニングした領域がプロモーターとして活性があるかについての検討を行う。サイトメガロウィルス (CMV) プロモーターとミトコンドリアシグナル cDNA および yellow fluorescent protein (YFP) cDNA を有する pEYFP-mitoプラスミドベクター (pCMV-YFP) を使用する。この pEYFP-mito ベクターより、584 bp の CMV プロモーター領域およびミトコンドリアシグナルcDNA 領域を排除し、増幅した Hook1 promoter DNA (HP DNA) を、pEYFP-mito ベクターに挿入して pHP-YFP をする予定である。Hook1 遺伝子プロモーターは精子形成細胞内でのみ活性があるため、遺伝子が導入された細胞のうち、精子形成細胞でのみ YFP 遺伝子が転写・翻訳され、黄緑色の蛍光を発することが予想される。pHP-YFPはHook1cDNA領域が挿入されていないので、今回クローニングしたpromoter 部位が有効なプロモーター活性を有するか否かの検討が可能となる。
|
次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
|