妊娠中期の貧血妊婦に対し鉄剤に亜鉛を添加した群と鉄剤単独群では有意にヘモグロビン上昇率が亜鉛添加群で上昇した。胎児発育は有意差を認めなかったがZスコアに換算すると亜鉛添加群でより胎児発育を認めた。臍帯血亜鉛濃度は母体より有意に高値であった。混濁した羊水中には清明な羊水と比較し亜鉛、鉄が多量含有されていた。胎児が亜鉛を取り込むために妊婦は銅高値かつ亜鉛低値となり、胎児では銅低値となるように胎盤が強力に制御している可能性が考えられた。亜鉛は、羊水、胎児血、母体血の中で胎児環境をよくするために配分され、亜鉛の補充は発育を始めとして亜鉛が不足しがちな妊婦によい影響を与える可能性がある。
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