研究課題/領域番号 |
24592472
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
苛原 稔 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (20160070)
|
研究分担者 |
松崎 利也 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (70294692)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 多嚢胞性卵巣症候群 / PCOS / テストステロン / メトホルミン / 生活習慣病 |
研究概要 |
1.目的:多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は、若年者では月経不順と不妊、中高年者では生活習慣病の発症率が高いことから、女性の生涯において長期にわたる健康管理が望まれる。今年度は、新しい測定試薬のエクルーシス試薬テストステロンII(ECL TESTOII/ ロシュ・ダイアグノスティクス; 新キット)を用い、PCOS患者の診断に重要なTの血中濃度検出率の向上について検討した。 2.方法:正常月経周期女性(92検体)、PCOS以外の排卵障害患者(25検体)、PCOS患者(86検体)の血液検体を用い、以前のキット(エクルーシス試薬テストステロン(ECL TESTO/ 旧キット)および新キットでTを測定し、T高値率を比較検討した。 正常女性群、PCOS以外の排卵障害患者群、PCOS群のT値を新旧それぞれのキットの正常範囲上限をカットオフ値とし、PCOS群ではT高値率、他の症例ではT非高値率を比較した。 3.成績:T非高値率は正常月経周期女性では、新および旧キット共に98.9%、PCOS以外の排卵障害患者で新および旧キット共に96%であった。PCOS患者のT高値率は旧キットで30.2%、新キットで44.2%であった。 4.結論:テストステロン(T)の血中濃度の評価は、PCOS患者を病態別に分類し、治療を個別化するために重要であると考えられてきた。しかし、女性の血中T濃度は低く、また、測定系の感度と特異度の問題から、従来の測定系では女性のT濃度の評価には限界があった。近年開発された測定系を用いた今回の検討で、PCOS患者のT高値率は旧キットの30.2%に対し、新キットでは44.2%と約1.5倍になっていた。このように現在はPCOS患者のT値がより正確に測定でき、病態の解析、診断ならびにサブタイプの鑑別にT測定が重要であることが明らかとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
テストステロンの新測定系を用いて、PCOSの診断における新測定系の有意性を証明した。
|
今後の研究の推進方策 |
血中ホルモンの測定値の測定系間の整合性の検討(テストステロン以外):内分泌的検討の結果を一般化するために、LH、FSH、プロラクチン、エストラジオール、プロゲステロンの国内の測定系について、患者血液検体を用いて、多数の測定系で測定し、測定系間の測定値の違いを明らかにする。臨床的に問題となる相違については、多数の測定系間の測定値補正の方法を検討する。 PCOS患者の生活習慣病発症リスク因子の検討:PCOS患者のBMI、血中アンドロゲン値、血中LH値、月経異常のタイプ、卵巣体積などと、HOMAーIR空腹時インスリン値、750gOGTT、血圧、血中コレステロール値等の関係を解析し、生活習慣病発症のリスク因子を検討する。 日本人のPCOS患者におけるメトホルミンの治療成績の検討:アンケート結果を集計し、メトホルミンの使用方法や内分泌状態の違い等より細かく分類し治療成績を詳細に解析する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
|