研究課題/領域番号 |
24592472
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
苛原 稔 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (20160070)
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研究分担者 |
松崎 利也 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (70294692)
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キーワード | 多嚢胞性卵巣症候群 / PCOS / テストステロン / ホルモン測定系 / 代謝異常 / 生活習慣病 |
研究概要 |
1.生殖関連ホルモンの測定系間における測定値の相違の検討 ホルモン測定値には測定系間の相違があり、施設間のデータ比較を困難にしている。LH、FSH、PRL、エストラジオール(E)、プロゲステロン(P)およびテストステロン(T)について測定系間の相違について検討した。LH、FSH、PRL、E およびPでは測定系間の測定値の相関は高く、換算により比較可能である。一方、Tは女性の血中濃度域では測定系によるばらつきが大きく、一部の測定系の正確性に問題があった。多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)患者の診断と治療においてT値は重要であり、データの解釈に際し使用した測定系を考慮する必要がある。 2. PCOS患者の代謝異常による病型分類の検討 PCOSは生活習慣病発症のリスクが高く、インスリン抵抗性などの代謝異常を持つ群が存在する。代謝異常の有無からPCOSの病型を分類することを目的として検討した。対象としたPCOS患者では肥満者の割合が32.6%、インスリン抵抗性を持つ者(HOMA-IR≧2.5)の割合は29.2%を占めていた。身体所見・内分泌因子と生活習慣病に関する因子の相関を重回帰分析等で検討し、以下の結果を得た。1)生活習慣病のリスクファクターには肥満の有無が最も関係し、他には、卵巣体積やfree Tが関係していた。2)血中LH、男性ホルモン(A)の異常所見でPCOSを3群に分類すると、高Aをもつ2群で生活習慣病リスクが高い。しかしながら、この分類は肥満と独立した因子ではなかった。3)生活習慣病リスクファクター保持率は非肥満PCOSで10未満と低く、肥満PCOSで、肥満以外の生活習慣病リスクファクター保持率は64.3%であった。以上から、PCOSを生活習慣病のリスクファクターから病型分類するには、BMI(肥満の有無)、free T、アンドロステンジオン、卵巣体積が有用であることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
PCOSの病態の違いに基づく病型を分類するために必要なホルモン測定系の相違に関するデータを解析でき、また、代謝異常に基づき病型分類するために有用な因子を明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
PCOSでは代謝異常とホルモン異常に関連がある一群があり、それらの群では代謝異常に目を向けた治療が病態改善に有用であると思われる。次年度には、インスリン抵抗性の改善による治療が奏効する因子について検討し、PCOS治療の個別化の指針作製を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験に失敗することも少なく、スムーズに行われたので物品購入が少なくなった為。 平成25年度に予算執行しなかった140,193円を平成26年度の物品費に繰り入れ、試薬などの購入に充てる。
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