研究課題
今年度は、日本女性の多嚢胞性卵巣症候群患者におけるメトホルミンを用いた排卵誘発の有用性について検討した。【目的】PCOSの排卵誘発におけるメトホルミン(Met)の臨床効果について、どのような患者に効果が高いかに関して解析した。【方法】PCOS患者にインフォームドコンセントを得てMetを投与した症例を対象とした症例調査を行い、1.クロミフェン(Cl)抵抗性の患者に対するCl-Met併用療法、2.Cl抵抗性のない患者に対するCl-Met併用療法、3.第一選択としてのCl-Met併用療法、4.Met単独療法に分類して検討した。合計178症例・798周期のうち、不適例を除外し162症例・480周期を解析した。【成績】1.(80例221周期):排卵率は周期別65.1%、症例別69.9%と高率で、単一卵胞発育率も81.1%と高かった。BMI30以上の群は30未満の3群よりも妊娠率が有意に高かった。2.(57例205周期):妊娠率は周期別16.7%、症例別50.9%と高率であった。3.(7例12周期):排卵率は周期別83.3%、症例別85.7%と高率であり、単一卵胞発育率も71.4%と高率であった。4.(18例42周期):排卵率は周期別70.0%、症例別60.0%と高率であった。5.副作用は 3.6%(17/472)にみられ、主に消化器系のものであった。6.妊娠例に多胎はなく(0/42)、児の奇形は3.4%(1/29、心奇形)であった。【結論】Metは、主としてCl単独で排卵が起きない症例に対して、Clとの併用療法として試みられ、一定の効果が見られている。特に肥満またはインスリン抵抗性のある患者に有用である。また、第一選択としてのMet単独療法も一定の効果が見られており、奏効が期待できる肥満またはインスリン抵抗性症例では、実施を検討する余地があると思われた。
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