研究課題/領域番号 |
24592474
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
KHAN KHALEQUE 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (60336162)
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研究分担者 |
北島 道夫 長崎大学, 大学病院, 講師 (50380845)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 子宮内膜症 / LPS / TLR4 / エストロゲン / HSP70 |
研究概要 |
子宮内膜症はエストロゲン(E2)依存性の慢性炎症性疾患である.内膜症には不明な点が多く,その病態をひとつの因子で一元的に説明することは困難である.私どもは過去4年間(H21-24),内膜症でのLPSとマクロファージ(Mφ)の役割について検討を重ねてきたが,内膜症の病態を説明する仮説として,生得免疫を司るLPSとTLR4を介した「bacterial contamination hypothesis 」に至った.内膜症の月経血においては,非内膜症コントロールに比して有意に大腸菌(E.coli)のコンタミネーションが多く,内膜症の月経血あるいは腹水中ではエンドトキシン(LPS)濃度が有意に高いことが認められた(Fertil Steril 2010;94:2860-3).また,TLR4を介した内膜症の増殖では,LPSとストレス蛋白であるHSP70との分子クロストークが存在することを見いだした(7th FAOPS Congress,台北,2011).また,LPSとE2が協働的にERおよびTLR4を介してマクロファージが惹起する局所炎症を誘導することを報告した(第57回日本生殖医学会,長崎市,2012).これらは,内膜症の増殖・進展を抑制するためには,エストロゲン作用.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
私どもは内膜症女性と非内膜症女性とでは、腹腔内環境におけるinflammatory mediatorsの濃度が異なっていることを見いだした。卵巣ステロイドと炎症反応との間のクロストークは、内膜症の増殖制御に関与している可能性がある。また機械的な原因以外に、腹腔内環境における炎症因子の増加が、内膜症女性における生殖の結果に有害な影響を及ぼしているのかもしれない。この研究は第57回日本生殖医学会,長崎市,2012 educational lecture として発表した。今年の1月第34回日本内膜書学会シンポジウムで発表した。
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今後の研究の推進方策 |
Defensinファミリーなどの抗菌性ペプチドや分泌型白血球プロテアーゼ阻害物質(secretory leukocyte protease inhibitor, SLPI)は,動物および植物に種横断的に広く存在する宿主生得免疫のメディエーターである.これらの抗菌性ペプチドは,微生物の混入・感染から宿主を防御している生得的な抗菌物質と捉えられる.呼吸器あるいは生殖器では,ヒトβ-defensin-1 (HBD-1)101:1633,1998).これらの結果は,尿中のHBD-1濃度が妊娠女性で最も高く,次いで非妊娠女性であり,男性で最も低いことにも合致している.これらから,私どもは,子宮内膜局所におけるHBD-1およびSLPI濃度が月経周期により変化し,増殖期で最も高く,月経期で最も低くなるのではないかと推測している.もしこの予想が正しければ,本研究により,内膜症での月経血中への細菌混入のin vivoでの機序の一端が示されると考える. これらの背景から,本研究では,子宮内膜組織および子宮腔内分泌物におけるHBD-1およびSLPI濃度を測定し,それらの結果を子宮内膜症の有無,月経周期の相違あるいはGnRHa治療の有無により比較検討し,これら抗菌性ペプチドと子宮内膜症との関連を探求したい.
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次年度の研究費の使用計画 |
25年度についても、当初計画のとおり使用予定である。
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