研究課題/領域番号 |
24592486
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
山本 樹生 日本大学, 医学部, 教授 (40167721)
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研究分担者 |
千島 史尚 日本大学, 医学部, 准教授 (50277414)
久野 宗一郎 日本大学, 医学部, 助教 (30350002)
市川 剛 日本大学, 医学部, 助教 (80599994)
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キーワード | 妊娠高血圧症候群 / 妊娠高血圧腎症 / placenta growth factor / sFlt-1 / 血清因子 / 低酸素応答分子 |
研究概要 |
妊娠高血圧腎症(PE)の病態解明を目的として、胎盤におけるPlGF、sFlt-1、MTF-1、 HO-1、 HIF-1α mRNAの関係を検討するとともに、胎盤絨毛の代用として絨毛癌細胞 (JEG-3細胞)を用いて、PE患者より血清を採取して、血清のこれらの因子に関する影響を検討し、胎盤におけるPlGFおよびsFlt-1 mRNAの発現に及ぼす低酸素応答分子およびPE血清との関係を検討した。 結果 1. 胎盤からのPlGF mRNAの発現量はPE群で有意な低下を、sFlt-1mRNAの発現量は有意な増加を示した。また、MTF-1 mRNA、HO-1 mRNAの発現はPE群で有意な低下を認めた。胎盤におけるPlGF mRNAとMTF-1 mRNA、sFlt-1 mRNAとHIF-1 mRNAの発現量は相関を認めた。 2. PE患者血清添加によりJEG-3細胞のsFlt-1 mRNAの有意な発現増加、PlGFおよびHO-1 mRNAの有意な発現低下を認めた。 結論 PEの胎盤ではPlGF mRNAの発現が低下し、sFlt-1 mRNAの発現が増加する。PlGF mRNAの発現が低下する機序として、血清因子、MTF-1、HO-1 mRNAの発現低下が推察される。一方で、sFlt-1 mRNAの発現が増加する機序としては、PE血清が、sFlt-1 mRNA発現の増加を起こしている可能性がある。PEにおけるPlGF, sFlt-1mRNA発現の変化は、胎盤の低酸素環境のみならず、血清因子も関与することが判明した。 PE胎盤における各種蛋白の局在を確認したが、今後 定量的解析を行う予定である
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
胎盤における低酸素分子mRNAをよびPlGF,sFlt-1の検討はおおむね順調に進展している。低酸素応答分子とPlGF,sFlt-1のmRNA発現の検討し相関性は確認できた。さらに進めるとともに血清因子の本態を検索するために血清因子として考えられるものにアンジオテンシンII レセプターに対する自己抗体 (AT-1 AA)が候補として考えられる。AT-1 AAと絨毛細胞よりのPlGF,sFlt-1発現に対する影響を検討する。その他の自己抗体・ホルモンを含めた病態の検討を行う予定
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今後の研究の推進方策 |
胎盤における低酸素応答分子とPlGF,sFlt-1の発現の検討をさらに症例を増やし検討する。 胎盤におけるmRNA発現・蛋白発現の結果とPE患者血清因子の絨毛細胞よりのPlGF,sFlt-1発現に対する影響の両者を検討し、結果の矛盾点を再実験、再検討する。 これらから、PEにおけるPlGFの低下、sFlt-1の増加には低酸素環境と血清因子の両者が関与するというメカニズムを提唱すること、血清因子として考えられるものにアンジオテンシンII レセプターに対する自己抗体 (AT-1 AA)が候補として考えられる。AT-1 AAと絨毛細胞よりのPlGF,sFlt-1発現に対する影響を検討する。最後に血清因子の関与はPE患者よりこの血清因子を除去することによりPE状態を改善でき新しい治療法が開発できることを提唱する。
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