研究課題/領域番号 |
24592487
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
市川 雅男 日本医科大学, 医学部, 講師 (20366660)
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研究分担者 |
竹下 俊行 日本医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60188175)
里見 操緒 日本医科大学, 医学部, 助教 (80318500) [辞退]
根岸 靖幸 日本医科大学, 医学部, 助教 (50644580)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 生殖免疫 / 妊娠 / PD-L1 / 樹状細胞 / 自然免疫 |
研究実績の概要 |
我々は胎盤上に強く発現しているPD-L1分子について実験を進めてきた。その中で抗PD-L1分子抗体の投与ではマウス流産率を変化させない一方、in vivo CTL assayによる実験では抗PD-L1/抗4-1BB(補助刺激シグナル)抗体投与ではCTL活性の増強が認められた。抗体投与経路(皮内、膣内、腹腔内投与)による有為な差も認められなかった。 このように、CTL活性と実際の流産率の変化には乖離があり、妊娠の維持には単にCTL活性の制御だけでは説明がつかない。 そこで我々は、PD-L1分子を有するその他の細胞群について着目した。 PD-L1は過度の炎症抑制機能を有し抗原提示細胞にも発現する。これまでCTL活性を中心に妊娠維持の役割について検討して来たが、この抗原提示細胞上のPD-L1分子の妊娠に対する影響を検討した。 特に妊娠維持と深い関わりがある、Th1指向性のDEC-205陽性樹状細胞に着目した。これは表面CD1d分子から糖脂質を、同じく自然免疫系のNKT細胞に抗原提示しうる細胞群である。C57B/6マウスの骨髄細胞から樹状細胞を誘導時、NKT細胞を活性化するα-GalCer(α-Galactosyl Ceramide)を添加すると、DEC-205陽性樹状細胞上のPD-L1分子の表出が増強され、さらにこの樹状細胞をC57B/6 x C57B/6系妊娠7.5日マウスに養子免疫すると、50%以上の高い流産率を示すことが認められた。PD-L1が妊娠の維持にprotectiveに関わるのであれば、上記の結果(PD-L1発現が高い樹状細胞が流産を引き起こす)と矛盾する。PD-L1は妊娠維持に主体的な役割は担っていないが、反して流産を引き起こすような上記の系においては、いわゆる「ブレーキ」的な役割を担おうとしているのではないかと考えている。現在同種異型妊娠マウスにも実験を試みている。
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