研究概要 |
陣痛発来前の予定帝王切開時に採取した子宮頸部線維芽細胞より初代培養系を確立。エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、Toll様受容体4 (TLR4)の発現をリアルタイムPCR解析で確認した。LPSにより、IL6,IL8のmRNAの誘導、培養液中への分泌を、リアルタイムPCRおよびELISAにて確認した。 この系を用いて、LPS and/orプロゲステロン添加/非添加の条件で12, 24時間培養し、mRNAを抽出し、PCR アレイ解析、及びリアルタイムRT-PCRにより、細胞外マトリクス関連分子およびLPSの作用するToll様受容体4 (TLR4)の発現動態を解析した。 細胞外マトリクス関連分子をターゲットとしたPCRアレイ解析により、LPS(2.0μg/ml)により発現が増加し、プロゲステロン添加(1.0μM)により発現が抑制される分子群の抽出を行った。続いてリアルタイムPCR解析を行った結果、LPS (2.0μg/ml)の添加によりMMP-1, MMP-3, MMP-9が有意に発現誘導され、(n=3, MMP-1 12 h p<0.005, 24 h p<0.0005, MMP-3 12 h p<0.005, 24 h p<0.000005, MMP-9 12 h p<0.005, 24 h p<0.005),この変化はプロゲステロンの添加により有意に抑制された(n=3, MMP-1 12 h p<0.05, 24 h p<0.05, MMP-3 12 h p< 0.05, 24 h p< 0.01, MMP-9 12 h p< 0.05, 24 h p< 0.05)。また、プロゲステロン投与によってTLR4の発現には有意な変化を認めなかった。 プロゲステロン経膣的投与による子宮頸管局所濃度の増加は、TLR4の下流シグナルに作用し、子宮頚部維芽細胞より産生されるMMP群を転写レベルで抑制する事により、頸管リモデリングを制御し、早産予防に寄与している可能性が示唆される。
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