研究課題/領域番号 |
24592489
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
石川 朋子 お茶の水女子大学, 生活環境教育研究センター, 特任准教授 (70212850)
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研究分担者 |
藤原 葉子 お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 教授 (50293105)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 免疫 / 小胞輸送 / 栄養 / 細胞・組織 |
研究実績の概要 |
胎盤は胎児への栄養供給を司る唯一の器官であると共に、IgG受渡しにより新生児の受動免疫に重要な役割を果たしている。しかしながら栄養膜細胞および絨毛血管内皮細胞からなる胎盤関門における物質輸送機構は、十分には解明されていない。胎盤絨毛血管内皮細胞において、カベオラとは異なりかつIIb型Fc受容体を発現する小胞とIgG輸送との関連の解明を目的としている。 ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)にIIb型Fc受容体-EGFP融合タンパク質を発現させた胎盤胎児血管内皮細胞モデルにおいて、IIb型Fc受容体を発現する小胞が細胞へのIgG取込みに関与する可能性が示唆され、その検証を行った。胎盤組織のプロテオミクス解析で同定された小胞関連分子の中から、いくつかのRas関連GTPaseに着目し、発現をノックダウンしたモデル細胞内のIIb型Fc受容体発現小胞の動態と細胞内へのIgG取り込み能を検証した結果、これらの機能への関与が示唆されるRabタンパク質を見い出した。 さらにこれまでに明らかとなったヒト胎盤胎児血管内皮細胞に発現するIIb型Fc受容体のIgG輸送機構解明を目的としたin vivo実験系の確立を目指し、実験動物各種組織における内皮細胞のIIb型Fc受容体小胞の発現解析と食餌誘導性の発現動態の検討を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
胎盤胎児血管内皮細胞モデルとして確立したIIb型Fc受容体発現HUVECにおいては、IIb型Fc受容体発現は、ヒト胎盤胎児血管内皮細胞と同様に小胞様を呈する。このin vitroモデルを用いて、胎盤組織のプロテオミクス解析からIIb型Fc受容体発現小胞の関連因子として同定された数種類のRas関連GTPaseについて検証を行い、IIb型Fc受容体発現小胞の細胞内動態および細胞へのIgG取込に関与するRabタンパク質を見い出した。さらに内皮細胞に発現するIIb型Fc受容体の機能解析に有用なin vivo 実験系の確立を目的として、実験動物組織の内皮細胞におけるIIb型Fc受容体発現およびその局在について、また食餌誘導性の発現動態について、生化学的および形態学的解析を進めた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画であったヒト胎盤胎児血管内皮細胞に発現するIIb型Fc受容体を含む小胞のIgG輸送との関連とその制御因子解明について、研究成果の報告を、また必要に応じて追加実験を行う。 さらにIgG輸送におけるIIb型Fc受容体の機能解析に有用なin vivo実験系の確立を目指し、実験動物胎生期から新生仔期、成獣期および妊娠期の各組織内皮細胞等におけるIIb型Fc受容体発現について、細胞内局在およびIIb型Fc受容体小胞関連因子との共局在を含めた解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
これまでの研究成果報告にあたり、追加実験が必要となる可能性が考えられるため。
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次年度使用額の使用計画 |
これまでの研究成果報告にあたり、追加実験の必要が生じた際にはこれに充当する。 また今年度の研究計画である実験動物各種組織における発現および組織内・細胞内局在と、食餌誘導性の動態解析、さらにその成果報告に充当する。
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