研究課題/領域番号 |
24592492
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 関西医療大学 |
研究代表者 |
畑村 育次 関西医療大学, 保健医療学部, 教授 (80336883)
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研究分担者 |
中塚 映政 関西医療大学, 保健医療学部, その他 (30380752)
櫻井 威織 関西医療大学, 保健医療学部, その他 (40624127)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 多嚢胞性卵巣 / 卵母細胞 / セロトニン |
研究概要 |
1.平成24年度はPCO(多嚢胞性卵巣)のモデルマウスの作製を行い、卵母細胞の基礎的研究を行った。すなわち(1)4-5日齢の雌マウスに、アンドロゲンの一種であるTestosterone propinate(TP)をゴマ油とエタノール(9:1 v/v)に溶解したもの、0.5~1.0mgを腹腔に1回注射をおこない、対照としてTPを除いたゴマ油とエタノール(9:1 v/v)に溶解したもの、0.5~1.0mgを腹腔に1回注射をおこない、モデルマウスの作製を最初に行った。次に(2)5週齢に達した時点から膣スメアで発情周期を調べる。膣スメアで常に角化細胞と少量の小型有核細胞が見られる発情前期(Proestrus)、または角化細胞のみが見られる発情期(Estrus)を示し、その後周期の変動が見られなくなった個体をPCOになったと判定した。 2.作製したモデルマウスの卵巣の解析 作製したモデルマウスより卵巣組織をとり4%パラホルムアルデヒド固定し、H.E染色をおこない多嚢胞性卵巣の組織学的検索をおこない、卵巣に共通して大きな卵胞腔をもつ卵胞が多数見られ、しかも黄体が存在しておらず、無排卵の状態になっており、ヒトや他の動物で報告されている多嚢胞性卵巣の組織像や生理機能においてそれらの特徴とよく一致した。TP投与後、5週齢でPCOマウスになることが明らかとなった。しかもこのようなマウスの卵巣を詳しく観察すると、正常では見られない二次卵胞のような未成熟な卵胞に含まれる卵母細胞に限って減数分裂を再開し、第一減数分裂中期や、第1極体を放出し第二減数分裂中期に達したもの、更に単為発生(卵割)や卵の断片化が週齢と共に増加傾向にあることを見出した。さらに卵胞組織の免疫組織学的解析 とくにセロトニンの免疫染色をおこなうと、卵母細胞の成熟度が大きいほどその周囲の顆粒膜細胞に強く発現するのを認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
PCO(多嚢胞性卵巣)を作製する際に、生後4-5日齢の雌マウスに、アンドロゲンの一種であるTestosterone propinate(TP)をゴマ油とエタノール(9:1 v/v)に溶解したもの、0.5~1.0mgを腹腔に1回注射をおこなうのであるが、生後4-5日齢の雌マウスは小さくTOPを投与した後、ときに腹腔内感染、または出血を伴い実験に用いるモデルマウスの数が予想より少なくまたセロトニン関連の最良の免疫染色条件を決定するのに少し時間がかかり予定より計画が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
研究達成度で述べたが、少し研究が遅れている理由がモデルマウスの作製に手間取ったためであるが、次年度においては感染症や出血対策をおこない、さらにはもう少しマウスの数を増やし実験を行い実験の効率を上げる。染色の条件等は昨年度にほぼ条件を決定をしたのであとはPCOを作製して染色およびPCR等の分子生物学的検索をおこなう予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
1.次年度においては卵胞組織の免疫組織学的解析をセロトニン関連因子の免疫染色およびRT-PCR法等の分子生物学的検索を行う予定である。セロトニンはもちろんそのほかにセロトニン合成経路が存在する可能性を検討するため、セロトニン合成の律速段階酵素であるTPH-1(Tryptophan-5-hydroxylase)とセロトニン最終合成酵素として知られるDDC(Dopa decarboxylase)の卵胞内組織の発現様式を検索するためにそれぞれの免疫染色をおこない、卵母細胞のPCOにおける蛋白発現様式を解析する。次にセロトニンの可能性のあるレセプターセロトニンレセプターの免疫染色もおこない、セロトニンレセプターの発現様式の検討をおこなう。また同時にこれらの組織における発現様式を検索するためにRT-PCR法を用いて検索を行う。 2.卵母細胞成熟および活性化の検索 PCOにおいて、二次卵胞に含まれる卵母細胞には、正常卵巣に認められない第一減数分裂中期のものや、第1極体を放出し、第二減数分裂中期を示すもの認めたことから、減数分裂に関係する蛋白の検索をおこなう。生殖細胞が卵子および精子になる際に行う減数分裂において、遺伝子を活性化することにより必須な働きをするタンパク質Meisetz(PRDM9)抗体、細胞周期チェックポイントのBUB3抗体等の免疫染色をおこなう。
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