研究課題/領域番号 |
24592493
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
下屋 浩一郎 川崎医科大学, 医学部, 教授 (40291950)
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研究分担者 |
中井 祐一郎 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (50271193)
福家 信二 川崎医科大学, 医学部, 講師 (50333696)
張 良実 川崎医科大学, 医学部, 講師 (70565910)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 酸化ストレス / 母体ストレス / 子宮筋 / 子宮収縮 |
研究概要 |
検体採取に関して倫理委員会の承認を経て検体採取の体制を整備した。妊娠後期の卵膜組織における様々な病態における発現蛋白の差異を検討している。酸化ストレス指標である8-ヒドロキシーデオキシグアノシン(8-OHdG)、初期脂質過酸化指標であるHexanoyl-lysine(HEL)、後期脂質過酸化指標である、リン脂質由来の酸化損傷マーカーイソプラスタンHNE、糖酸化生成物カルボキシメチルリジン(Nε-(carboxymethyl) lysine: CML)、蛋白質酸化指標Advanced oxidation protein products (AOPP)などの酸化ストレス産物およびグルタチオン、SODなどの抗酸化因子、RCAS1、ケモカインなどの免疫制御因子の蛋白発現ならびにmRNA発現レベルを比較検討している。母体ストレス量の定量化と周産期事象との関連を検討するため唾液を採取保存し、母体の健康指標および抑うつ指標をSDSとGHQ-28による質問表によって測定した。アロマテラピーの妊産婦に対するストレス軽減効果を検証したところGHQ-28にて妊婦及び褥婦において比較的強いストレスが示され、アロマの吸引前後のVASは妊婦で吸引前4.7±1.4から吸引後2.7±1.3、褥婦で吸引前5.0±1.8から吸引後3.0±1.9と有意に自覚的ストレス量が減少した。唾液中のクロモグラニンアとアミラーゼは変化がなかったが、コルチゾールは吸引後有意に減少した。アロマセラピーは視床下部-下垂体-副腎皮質系を介してストレスを軽減させると考えられる。唾液中クロモグラニンA濃度と性機能,GHQ28と性機能,GHQ28とEPDS,EPDSと児への気持ちとの間に有意な相関が認められた。このことは、母体ストレス量が妊娠・産褥に大きな影響を及ぼすことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
子宮収縮に及ぼす酸化ストレスの影響を解析する準備態勢を整備することができ、さらに卵膜における子宮収縮の有無、感染の有無による蛋白・遺伝子発現の差異の検討を開始している。さらに、酸化ストレス関連因子による発現の差異の検討を開始しており、おおむね順調に進展していると考えられる。さらに、母体ストレスの関する検討も症例の蓄積が進展しており、周産期事象および産褥事象との関連の解析において一定の成果が得られ、学会での発表も行っている。さらに、妊娠・産褥期のアロマ吸入によるストレス定量に及ぼす影響に関しても検討を進めて一定の成果が得られ、学会発表を準備中である。このような点からおおむね研究は順調に進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
研究についてはおおむね順調に進展しており、臨床検体を用いた検討を開始する。また、ストレス定量に関してもさらに症例を蓄積し、本年度中に論文作成を考えている。臨床検体採取に関して万一同意を得られない場合には細胞株を用いた検討を導入する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究の進行状況から109,951円の物品購入について残額が生じたが、研究は概ね予定通り進行した。残額を平成25年度の物品購入費にかえて当初の予定通り、物品の購入費、旅費等に用いる予定である。
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