研究課題
本研究は、次世代シークエンサーで取得した大規模配列解析情報やマイクロアレイ技術で取得したゲノムワイドな一塩基多型(SNP)情報を駆使し、産科領域の難治性疾患や稀少疾患の関連遺伝子を解明する事を目的とする。平成27年度は、前年度から解析を行っていた反復胞状奇胎症例について、エキソーム解析、DNAメチル化解析、ダイレクトシークエンスに加えて、SNP情報をもとにしたジェノタイピングを進めた。複数の症例を解析する過程で、海外のグループから反復胞状奇胎との関連が報告されていたNLRP7遺伝子の変異が、疾患の原因であることが特定できた日本人の症例が見つかり、その研究成果をまとめて論文投稿し、受理された。本研究の目的である産科領域の難治性疾患のひとつである反復胞状奇胎の関連遺伝子を明らかにした。さらに、NLRP7遺伝子と反復胞状奇胎発症との関連を調べるために、ゲノム編集を利用したヒト疾患モデル細胞の作製し、機能の詳細が明らかでないNLRP7遺伝子の解析に取り組んでいる。平成27年度は研究代表者の所属機関の変更があり、移動先の所属機関で引き続き研究が行えるように、セットアップを行った。また、流早産を7回繰り返し、生児を得ることができなかった原因不明の症例について、エキソーム解析や核酸の質量分析法を用いて調べた結果、妊娠初期から中期にかけて子宮筋の抑制に関与するPTGER3(プロスタグランジンレセプターのひとつ)遺伝子に稀な一塩基多型があることがわかった。今後、この症例についても解析の結果をまとめて、共同研究者と論文化する予定である。
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Gynecol. Obstet. Invest.
巻: Nov 26 ページ: 1-6
10.1159/000441780
Sarcoma
巻: 2015 ページ: 1-14
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http://webinfo.kio.ac.jp/kio1/view2.asp?msg_no=275