研究課題/領域番号 |
24592495
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 独立行政法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
桂木 真司 独立行政法人国立循環器病研究センター, 病院, 医長 (50521283)
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研究分担者 |
秋武 義治 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 研究員 (20508791)
細田 洋司 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (40359807)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 周産期 |
研究概要 |
エピジェネティクスな遺伝子制御は多彩な生命現象の分子基盤を担っており、細胞の分化・脱分化、増殖、老化等の細胞の質的変化に加え、環境因子への応答とその記憶としての役割にも深く関わっている。低出生体重児では学童期の学習障害や行動障害の頻度が高いことが従来から指摘されているが、胎児期の栄養環境とその後の精神発達遅滞・障害の関連については不明な点が多い。一方、ヒストン脱アセチル化酵素SIRT1は、中枢性代謝制御に重要な役割を果たしているほか、神経幹細胞の分化にも関与していることが明らかになっている。本研究は胎児期の低栄養環境と精神発達遅延・障害の関連、及びその機序を明らかにし、予防法や治療法の確立につなげることを目的とする。 本年度では子宮内発育遅延(IUGR)モデル動物の確立、そして胎児から成獣までの脳組織発達を正常マウスと比較検討を行った。既報に従ってIUGRモデルマウスの作製を行ったが、妊娠期全体または部分的な摂食制限において、IUGRマウスが生まれない場合や、出生時体重に変化を来さないものも認められ、それらの作製に難渋鵜した。現在、妊娠中期~出産後1週間の母獣への70%摂食量制限により、出生時体重が正常体重と比較して10~20%減少したIUGRマウスを安定的に作出することが可能となった。マウス成熟度に適した行動評価を行い、IUGRマウスにおいて思春期前期の運動能力の低下や不安行動の増加等精神発達遅滞と思われる知見が得られた。現在、免疫組織学的手法を用いてIUGRマウスの神経幹細胞、神経細胞、シナプス密度等脳の成熟度を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の当初の研究計画は、(1)IUGRモデル動物における胎児から成獣までの脳組織発達を組織学的に検討、(2)IUGRモデルマウスにおける神経幹細胞数,自己複製能,多分化能等の解析、であった。既報に従いIUGRモデルマウスの作製に取り組んだが、精神発達遅滞を呈するようなIUGRマウスの作出には難渋したため、研究計画(1)は実行可能であったが、(2)は未着手である。
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今後の研究の推進方策 |
これまでにIUGRモデルマウスの作製が可能となり、行動評価において一定の精神発達遅滞を呈することが確認出来た。今後は、これらのIUGRマウスを安定的に作製し、平成24年度の研究計画である(2)IUGRモデルマウスにおける神経幹細胞数,自己複製能,多分化能等の解析、に引き続き、平成25年度の研究計画である、(3)IUGRモデルマウスにおいて、脳SIRT1活性の神経幹細胞系譜制御化への影響を解析、(4)出生後IUGRモデルマウスにおける脳SIRT1による神経幹細胞のエピゲノム制御、まで鋭意検討する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は、研究計画の未達成から一部の研究費を次年度に繰り越すことになった。平成25年度は前年度と合わせて、研究計画に沿って研究費を使用予定である。
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