研究実績の概要 |
研究最終年度にあたり、「1997-2004年に治療を行った中リスク子宮体癌」すべての解析が終了した。当該期間に中リスクと診断された症例は63例で、2例においてリンパ節のパラフィン固定標本が得られなかったかったため、61例に対してUltrastagingが実施された。 これらは全例ルーチンの病理検査でリンパ節転移陰性と診断されていたわけだが、実際には9例(14.8%)でリンパ節微小転移が同定された。リンパ節微小転移の危険因子は筋層浸潤の深さ(1/2以上)であった。リンパ節微小転移は骨盤外再発に関する独立危険因子であった(adjusted RR: 17.9, 95% CI 1.4-232.2)。再発部位は傍大動脈リンパ節が多く、また当該期間は傍大動脈リンパ節を摘出することは稀であったため、傍大動脈リンパ節郭清を実施しない場合、同部位の再発の危険が高まると解釈された。 リンパ節微小転移群(n=9)とリンパ節転移陰性群(n=52)で生存分析比較を行ったが、両群間に有意差は認めなかった (OS, log-rank test, P=0.074; RFS, log-rank test, P=0.066)。しかしながらリンパ節微小転移群の生存率はリンパ節転移陰性群のそれと比べて20%以上も低かった (8年全生存率: 71.4% vs. 91.9%, 8年無再発生存率: 55.6% vs. 84.0%)。 サンプルサイズが少ないために結論は出せないが、リンパ節微小転移は中リスク子宮体癌の予後因子となる能性がある。センチネルリンパ節生検の普及に伴い、リンパ節微小転移の取り扱いが将来的に問題となる。多施設共同研究でその意義を明らかにする必要がある。
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