研究課題/領域番号 |
24592498
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
永瀬 智 東北大学, 大学病院, 准教授 (00292326)
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研究分担者 |
鈴木 史彦 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20400343)
吉永 浩介 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (40343058)
丹野 純香 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (60509595)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 子宮体癌 / 漿液性腺癌 / マイクロRNA / マイクロアレイ / 薬剤耐性 |
研究概要 |
研究の第一段階として、子宮体部漿液性腺癌由来の細胞株UPSC-1、UPSC-2、SPAC1-Lの薬剤感受性を検討した。パクリタキセル(PTX)に対する感受性を調べたところ、UPSC-1株がもっとも高い薬剤感受性を示したことから、UPSC-1株を研究対象にした。使用した薬剤は、PTXと、シスプラチン(CDDP)、アドリアマイシン(ADR)の三剤であり、それぞれの濃度でIC50を測定し薬剤耐性を確認した。PTXでは、2週間ごとに5nM、10nM、50nM、100nMと濃度を上げIC50を測定したところ、50nMの濃度まで培養した耐性株において野生株に比べて薬剤耐性が5倍に達した。ADMに対する耐性株では、75nMの濃度まで培養した耐性株で、IC50において2.5倍の耐性が得られた。CDDPでも2μMの濃度まで培養した耐性株で3倍の薬剤耐性を獲得した。この耐性株からマイクロRNAを抽出し、野生株と耐性株におけるマイクロRNAマイクロアレイを行い、各薬剤における発現プロファイルの比較を検討中である。また、in vivoでの解析を行うための予備研究として、ルシフェラーゼを安定導入させた子宮体部漿液性腺癌を用いて同所移植モデルマウス、腹膜播種モデルマウス作製のための条件検討を行った。同所移植モデルでは、1×106および1×104個のUPSC-1細胞をアテロコラーゲン処理しマウス子宮内に投与した。腫瘍の増殖はin vivoイメージングでモニタリングできることを確認し、さらに、卵巣転移、リンパ節転移、腹膜播種については病理学的にも確認した。マイクロRNAマイクロアレイにより明らかになった薬剤耐性関連マイクロRNAに対しては、マイクロRNA導入によりモデルマウスの薬剤耐性にどのような変化がみられるか解析する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、薬剤耐性株と野生株におけるマイクロRNAの発現を比較し、薬剤耐性に関連するマイクロRNAを明らかにすることが第一の目的である。そのため、薬剤耐性株の作製がその後の研究結果の信頼性を大きく左右することになる。本研究では、培養時の薬剤の開始濃度や薬剤濃度上昇の早さを変え、3通りの方法で耐性株を作製した。そのために、当初の計画よりも3か月ほどの遅れを生じている。
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今後の研究の推進方策 |
適切な薬剤耐性株を作製することが、本研究を今後遂行する上で重要な研究であったために、計画より多くの時間を費やした。マイクロRNAマイクロアレイは薬剤耐性株からの十分量のRNA抽出が終了すれば解析可能の状態になっている。候補マイクロRNAの解析については、新しい研究補助員が研究業務を補佐できる体制を確立させ、研究が計画通り遂行できるように対策を講じた。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は今年度の研究が計画よりもやや遅れたことに伴い発生した未使用額であり、平成25年度請求額と合わせ、平成25年度の研究遂行に使用する予定である。
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