研究課題/領域番号 |
24592498
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
永瀬 智 東北大学, 大学病院, 准教授 (00292326)
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研究分担者 |
鈴木 史彦 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20400343)
吉永 浩介 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (40343058)
丹野 純香 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (60509595)
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キーワード | 子宮体癌 / 漿液性腺癌 / マイクロRNA / マイクロアレイ / 薬剤耐性 |
研究概要 |
子宮体部漿液性腺癌由来の2つの細胞株UPSC-1、SPAC-Lを用い、パクリタキセル(PTX)と、シスプラチン(CDDP)、アドリアマイシン(ADR)に対する薬剤耐性株を樹立させた。樹立した薬剤耐性株においては、薬剤トランスポーターABCG2(BCRP), ABCB1(MDR1), ABCC1(MRP1), ABCC2(MRP2)の発現の変化を確認した。PTX耐性株では、解析したすべてのトランスポーターの発現が亢進していた。CDDP耐性株、ADR耐性株では、それぞれ、ABCB1(MDR1)とABCG2(BCRP)以外のトランスポーター3種類で発現が亢進しており、薬剤耐性獲得を確認できた。3つの薬剤に対する耐性株と野生株のマイクロRNAの発現プロファイルを比較検討するため、マイクロアレイ解析を行った。野生株に比較して、すべての耐性株において共通して発現が上昇していたマイクロRNAは10種類(miR-200a-3p, miR-200b-3p, miR-29a-3p, miR-29b-a-5p, miR-31-5p,miR-429など)抽出された。また、すべての耐性株で発現が減少していたマイクロRNAは31種類であった。薬剤耐性株で発現が亢進していたマイクロRNAに着目し、以後の研究を行うことにした。10種類のマイクロRNAのうち、miR-200aとmiR-200bでは、3種類のすべての耐性株において発現が亢進しており、薬剤耐性獲得に関与しているマイクロRNAであることが示唆された。現在、耐性株で発現が亢進しているマイクロRNAのインヒビターをトランスフェクションし、薬剤耐性の変化がみられるかどうか、解析中である。今年度の研究結果は、平成26年4月に開催される、日本産科婦人科学会学術講演会で発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
25年度初めにマイクロRNAマイクロアレイを遂行したことにより、薬剤耐性獲得に関与する候補マイクロRNAを抽出する研究は、当初の予定通り今年度に達成可能であった。現在、候補マイクロRNAのインヒビターを耐性株にトランスフェクションし、薬剤耐性に変化がみられるかを検討中である。この耐性株での変化を確認した後、候補マイクロRNAの機能解析を行う予定であるが、候補マイクロRNAのインヒビター作製、および、至適投与条件検討に予想以上に時間がかかっており、当初予定よりも研究が遅れている。また、一つ一つのマイクロRNAに関する情報が多くなっており、候補マイクロRNAや候補遺伝子を絞り込む作業にも時間を要していることも、研究の若干の遅れの原因となっている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでは子宮体癌に使用される3種類の抗がん剤(パクリタキセル、シスプラチン、アドリアマイシン)について解析を行っていた。3種類の抗がん剤の中でも、パクリタキセルが子宮体癌ないしは婦人科癌抗がん剤治療において高頻度で使用されている。今後は、研究計画を推進するために、パクリタキセル耐性株に絞りこみ、耐性獲得機序の機能解析を進めていきたい。マイクロRNAから候補遺伝子を絞り込むのが困難な場合は、プロテオーム解析などを行い、直接的に関与する遺伝子を抽出し解析を行うことで研究を推進させる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額である。 平成26年度請求額と合わせ、平成26年度の研究遂行に使用する予定である。
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