研究課題
我々は子宮体部漿液性腺癌(UPSC)においてmicroRNA(miR-34b)が腫瘍増殖に関与する事を見出したが、今後の研究内容の発展、UPSCの発症メカニズムの解明、さらに新規分子標的治療薬の開発を最終目標とし、本研究ではイルミナ社の次世代シークエンサーを用いて、miRNA、large intergenic noncoding RNA (lincRNA)および融合がん遺伝子からなる新規がん原因遺伝子(群)の網羅的解析を立案した。我々は4つのサブ研究計画をデザインした。平成24年度は<研究計画1.子宮体部漿液性腺癌(UPSC)検体の病理学的評価およびRNA抽出>を遂行した。本研究によって得られるデータの精度は、UPSC患者症例ごとに正確な組織型を判定する事が重要である。当施設では婦人科病理専門医と婦人科腫瘍専門医(計15名以上)が定期的に病理カンファレンスを行い慎重かつ正確に病理診断を行うシステムが整っており、ここでUPSCと診断された症例はさらに年齢、進行度、転移の有無などのパラメーターを考慮した後、症例を絞って行った。手術の際検体が摘出された後婦人科腫瘍専門医が病変部を確認、適当と思われる部分を直ちに液体窒素内で急速冷凍、次に-80℃冷凍庫に保存した。術後の病理カンファレンスでUPSCと確定診断された症例のみ、検体より塩化セシウムを用いた超遠心法で高純度のtotal RNAを抽出した。平成25年度は<計画2.次世代シークエンサーを用いたUPSC患者検体のトランスクリプトーム解析>について現在我々の大学に導入されたHiSeq2500とイオンプロトンの方式の違う両者のどちらが適しているかパラメーター検討を行いイオンプロトンを選定した。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画通り、平成25年度中に<研究計画2>に到達し<研究計画3>に着手する事が出来た。
今後の推進方策については、平成25年度は予定通り<研究計画2>次世代シークエンサーを用いたUPSC患者検体のトランスクリプトーム解析を遂行したが、最終年度は、<研究計画3>標的分子の選定および機能解析までを完了予定である。
次年度使用額は今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額である。平成26年度請求額と合わせ、平成26年度の研究遂行に使用する予定である。
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Tohoku J Exp Med
巻: 231 ページ: 193-199