研究課題/領域番号 |
24592504
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
三橋 暁 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40302541)
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研究分担者 |
錦見 恭子 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (00536302)
生水 真紀夫 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30226302)
山本 憲子 千葉大学, 医学部附属病院, 医員 (30586722)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | メトホルミン / 子宮体癌 |
研究概要 |
本年度はメトホルミンの子宮体癌患者に対する効果をin vivoで確認した。 1)同意の得られた子宮体癌患者の手術待機中に750-2250mg/日のMetを投与し、投与前後の組織, 血清を採取し、AMPK-mTOR経路関連タンパク,細胞周期蛋白の変化をウエスタンブロット法で検討、免疫染色にてリン酸化S6,リン酸化ERK1/2、ki-67, topoisomerase IIαの発現の変化を検討した。 2)子宮体癌培養細胞株をメトホルミン投与前後の患者血清で培養(2%)し、thymidine 取り込み実験で細胞増殖抑制効果を検証した。 (成績)子宮体癌患者でも、以前に確認した培養細胞株と同様のシグナルの変化が確認された。免疫染色の結果、メトホルミン投与前後でリン酸化ERK1/2・リン酸化S6の発現が減弱した。また、k-i67 およびtopoisomerase IIα labeling indexが有意に低下していた。 メトホルミンは子宮体癌患者への短期間の投与で、子宮体癌に対する増殖抑制効果確認された。また、メトホルミン投与後の血清は、治療前の血清と比較してthymidineの取り込みが減弱していた。治療前後の血清では、インスリン・IGF-1・レプチン等が有意に減弱しており、この効果はメトホルミンの直接作用ではないと考えられた。またメトホルミン投与後に75gOGTTを施行し、2時間時の血清を用いた検討では、負荷前と比較してthmidineの取り込みに変化がなかった。このことは、負荷後に増加したインスリンの影響は少ないと考えられる。メトホルミン投与による液性変化はインスリン以外のターゲットがある可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウス発癌モデルでの計画は、発癌までの期間が18か月と長く、まだ検証できていない。 短期に発癌するモデルもあるが、遺伝子異常等の影響もあり、メトホルミンの予防効果が確認できない可能性もあり、遺伝子改変マウスは用いていない。 次年度には確認できる予定。
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今後の研究の推進方策 |
低濃度のメトホルミンでは、in vitroでの細胞増殖抑制効果は確認できないため、メトホルミンの効果が直接作用というより、内分泌学的効果による間接的効果の可能性が示唆された。メトホルミン投与後に75gOGTTを施行し、2時間時の血清を用いた検討では、負荷前と比較してthmidineの取り込みに変化がなかった。このことは、負荷後に増加したインスリンの影響は少ないと考えられる。メトホルミン投与による液性変化はインスリン以外のターゲットがある可能性が示唆され、今年度は、メトホルミン投与前後の血清を比較して、メトホルミンの効果がどの液性因子に関与するか検討する。 マウスを用いた発癌抑制実験では、栄養やインスリン抵抗性の違いで効果が異なる可能性がある。肥満モデルや過栄養での検討を加え、メトホルミンの効果が直接的なものか、間接的なものか検証する。
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次年度の研究費の使用計画 |
メトホルミンを子宮体癌患者術前投与した検討で、メトホルミンは間接的に細胞増殖を抑制することが明らかとなった。このときの作用を検討する目的で、投与前後の血清をメタボローム解析を行い、メトホルミン投与後に変化を認めた液性因子の解明を行う。 ひきつづき、マウス発癌モデルを飼育し、メトホルミン投与で発癌の抑制が得られるか検証する。
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