研究課題
ハイリスクHPV感染から子宮頸癌に至る癌化の過程について、発癌過程に関与するメカニズムを検証し、癌化を予測できる診断薬や治療薬開発へと応用することを目的とした。網羅的転写産物解析 (CAGE法)による検証:全ヒトゲノムシークエンス側にマップされた全転写産物の発現解析をもとに、バイオインフォマティクスのデータベースを用いた発現解析(KEGGパスウェイ解析)を施行し、その生物学的解釈を行った。CINから癌へ至る過程で上方制御、および下方制御されている転写産物群をそれぞれ抽出した。プロテオミクス解析による検証: 細胞抽出液中で免疫沈降されたhScrib蛋白質を用いて、マススペクトロメトリーによる質量解析を行い、蛋白複合体の同定を行った。次にリン酸化蛋白質分析によりhScrib内リン酸化部位とリン酸化伝達系について検討を行った。CAGE法による網羅的オミックス解析によって得られた宿主側の転写産物のうち、CIN1細胞株に比して、頸癌細胞株で最も抑制されていた遺伝子群が細胞極性・接着系であった。また、リン酸化蛋白質分析によりhScribのリン酸化部位とリン酸化伝達系について検討を行ったところ、ERKとhScribは特異的配列を介して直接結合することで、Ras-ERK系路の活性化と増殖能獲得を抑制することがわかった。さらにhScribのリン酸化機構を制御する蛋白質としてプロテインホスファターゼ(PP1γ)を同定した。また臨床検体を用いた検証では、子宮頸癌組織ではPP1γの細胞内発現が、約20%の検体で消失していること、CIN組織では異型度の段階が上がるに従い細胞内局在に異常をきたすこと、を確認した。
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