研究課題
基盤研究(C)
子宮平滑筋肉腫(子宮肉腫)は、再発・転移を繰り返す難治性腫瘍であり、50歳以降その罹患率の増加が認められる。子宮平滑筋腫(子宮筋腫)は、人種を問わず50歳以上の成人女性の約80%が発症する良性腫瘍であるが、子宮肉腫との判別が極めて難しい場合もある。子宮肉腫は、既存の化学療法に対して抵抗性を示すため、外科的治療法が唯一有効性のある治療法とされる。特に、再発・転移に対する治療法の選択は、限りなく狭い。そこで、子宮肉腫に対する新規治療法の確立に向け、子宮肉腫細胞の生物学的特性を理解することが重要である。これまで、私達の研究グループは、米国・MITの利根川 進 教授の研究協力のもと、イムノプロテアソーム構成因子LMP2の欠損マウスで、子宮肉腫が高頻度に自然発症することを報告した。そこで、私達の研究グループは、病理ファイルより選別された各種生検組織でのLMP2の発現状況について免疫組織化学染色により検討を行なった。その結果、子宮肉腫で特異的なLMP2の著しい発現低下が認められた。さらに、LMP2に着目したMicroArrayの遺伝子プロファイリングより、子宮肉腫特異的にアクチン・カルモデュリン結合タンパク質であるCalponin h1の著しい発現低下が認められた。これまでの研究成果より、LMP2発現は、Calponin h1の発現を誘導し、LMP2による細胞形態の変化はCalponin h1を介して行なわれていることが明らかとされた。さらに、LMP2により発現誘導されたCalponin h1は、子宮肉腫細胞の浸潤能を有意に低下させることが認められた。現在、私達の研究グループは、子宮肉腫を中心とした子宮間葉系腫瘍の生物学的特徴の解析を行い、新規治療に向けた標的因子の探索を行っている。
2: おおむね順調に進展している
子宮肉腫に対する新規治療法の確立に向け、子宮肉腫細胞の生物学的特性を理解することが重要である。私達のこれまでの結果より、子宮肉腫で特異的なLMP2の著しい発現低下が認められ、LMP2が細胞増殖に対する負の制御を行なっている可能性が示唆されている。さらに、LMP2に着目したMicroArrayの遺伝子プロファイリングを行なったところ、LMP2の発現により子宮肉腫細胞において特異的に発現誘導される因子が特定された。この結果、概ね当初の計画に準じた研究が進展している。
これまでの私達の研究成果は、IFN-γによる細胞増殖への抑制機能は、LMP2の発現による細胞増殖に対する負の制御に依存している可能性を示唆している。【目的】女性ホルモンによる性周期での、子宮体部、主に子宮平滑筋細胞の増殖におけるLMP2の役割を明らかにする。【対象と方法】マウスとヒト摘出組織を用いて、各性周期での女性ホルモンとその受容体の発現とLMP2の発現状況について組織学的に解析を行なう。
マウスとヒト摘出組織を用いて、各性周期での女性ホルモンとその受容体の発現とLMP2の発現状況について組織学的に解析を行なう。従って、マウスの購入費・飼育費として40万円/1年度、組織解析に使用する試薬費20万円/1年度を使用する。概ね当初の計画通り研究が進行されているが、当初計画で見込んだよりも安価に備品・試薬を購入出来たので、次年度使用額が生じた。
すべて 2013 2012 その他
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 2件) 備考 (2件)
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