研究課題
子宮頸癌における放射線治療は根治的治療として有用であるが、治療中、治療後の照射部位の再燃・再発治療には難航する。これは、放射線耐性の関与が考えられる。また、癌細胞の中に自己複製能と多分化能を有する少数の癌幹細胞が存在し,この細胞が起源となり癌組織を形成していると考えられている.癌幹細胞は抗癌剤や放射線治療に対し抵抗性を示し,さらにこれらオンコジェニックストレスにより悪性化能を獲得するため,癌治療のターゲットとして注目されている.近年様々な癌種において癌幹細胞の同定の試みの報告がなされているが,子宮頸癌では未だ癌幹細胞に関連する報告はない.我々は子宮頸癌において癌幹細胞を同定し,子宮頸癌の治療法の中心となる放射線感受への関与を検討していきた。この成績の論文を執筆、投稿し、掲載された。更に、これらの結果を元に、Hela以外の他の子宮頸癌細胞株を用い、検討を行った。幹細胞の同定法としてHoechst33342による side population(SP)を使い、子宮頸癌細胞株をfluorescence-activated cell sorting(FACS)を用いてSP細胞とnon-SP(NSP)細胞に分離する、分離したSP細胞の処理が非常に困難であり、再現性の確認に時間を費やしていた。結果として、他の細胞株においては、Helaと同様な有意な結果が出すことができなかった。しかしながら、HeLaにおいて SP細胞は癌幹細胞様 の性質をもつことが示唆され、SP細胞は放射線耐性を示すことも確認された。SP細胞をターゲットとした癌細胞が関与した放射線耐性を今後更に検討することで、放射線照射後の再発・転移のメカニズムの解明につながる可能性が示唆された。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Journal of Obstetrics and Gynaecology Research
巻: 40 ページ: 1389 - 1398
10.1111/jog.12357