研究課題/領域番号 |
24592515
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
坂田 正博 大阪大学, 医学部附属病院, 准教授 (10260639)
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研究分担者 |
澤田 健二郎 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00452392)
馬淵 誠士 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00452441)
磯部 晶 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60397619)
橋本 香映 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90612078)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 卵巣癌 / 抗血管新生治療 / PlGF / 分子標的治療 |
研究概要 |
我々は、低酸素状態で分泌される血管新生因子PlGF (Placental Growth Factor) に着目し、それの卵巣癌の播種病変における発現の制御機構、その癌および周辺環境に与える影響、癌患者の予後に与える影響を網羅的に解析する研究計画を行っている。本年度においては、 まず、PlGF が癌細胞の浸潤、運動、生存に与える影響についての解析をおこなった。卵巣癌細胞株CaOV-3 を1%O2 の低酸素下で培養し、PlGF のmRNA の発現量を20%O2培養下の細胞と比較したところ、PlGF の発現は有意に増加していることを確認した。そこで、卵巣癌細胞株にPlGF siRNA を強制導入したうえで、1%O2 環境下に培養し、分泌するPlGF が低酸素下での癌細胞の増殖に与える影響をIn vitro proliferation assay で検討した。低酸素刺激に伴う癌細胞の増殖能の亢進などがPlGF のKnock Down によって抑制されることを確認した。さらに血管新生に与える影響を解析するべく、血管内皮細胞のモデルとして、ヒト臍帯より内皮細胞(HUVEC)を採取し、初代培養した。このHUVEC 細胞と卵巣癌細胞株SKOV3ip1 との共培養実験を行い、HUVEC の運動能が亢進していることをIn vitro Scratch Assay を用いて確認した。さらにSKOV3ip1 細胞を免疫不全マウスに腹腔内投与に腹膜播種モデルマウスを作製した。接種後42日後にマウスを安楽死させ、腹腔内腫瘍を摘出。これを血管内皮細胞のマーカーであるCD31 で免疫染色し、腫瘍内血管の存在を確認した。今後はこれらの実験モデルを用いて、PlGF の抑制実験を行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の計画目標が①PlGF が癌細胞の浸潤、運動、生存に与える影響についての解析 ②卵巣癌細胞が分泌するPlGF が血管内皮細胞に与える影響の解析の二つであった。上述した通り、計画はおおむね進行していると考えている、血管内皮細胞に与える影響の解析ではPlGF のsiRNA による機能抑制がうまくいかずまだ抑制実験の結果が得られていないが、その代り平成25年度に行う予定であった動物実験において、卵巣癌細胞の腹腔内移植の系を確立し、腫瘍内血管の同定を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続いて、HUVEC との共培養実験において、卵巣癌細胞のPlGF 分泌をsiRNA を用いてKnock Down することにより、血管新生が抑制できるかを、In vitro tube formation assay などで検討していく。また、PlGF遺伝子の転写制御機構の解析を行う。我々はすでにPlGF のプロモーター領域をPCR でCloning し、Luciferase Plasmid に挿入したベクターを既に作成している。よって、このベクターを用いて、Luciferase Assay を行うことにより、PlGF 遺伝子の発現を制御する転写因子の同定を行う。さらに、卵巣癌腹膜播種モデルマウスを用いて、In VivoにおけるPlGF の機能抑制により卵巣癌の播種進展が抑制できるか、その効果を検証する予定にしている。
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次年度の研究費の使用計画 |
上記研究計画を遂行するためには少なくとも数十匹の免疫不全マウスが必要である。その購入費、維持費にかなりを費用を必要とする。さらに作用点を解析するべく安楽死させたあとの組織切片の作成、免疫組織染色に相当程度の研究費を必要とし、これに充当する。また、siRNA、ルシフェラーゼアッセイキット、培地、FBS、抗生剤などの消耗品も必要であり、それらの購入に使用する。
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