研究課題/領域番号 |
24592516
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
上田 豊 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10346215)
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研究分担者 |
小林 栄仁 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50614773)
藤田 征巳 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60303963)
榎本 隆之 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90283754)
吉野 潔 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90362730)
木村 敏啓 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (90584524)
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キーワード | 婦人科腫瘍 / 子宮体癌 / 化学療法 / 抵抗性 / 蛋白質発現 |
研究概要 |
①網羅的蛋白質発現解析により同定された子宮体癌における化学療法抵抗性に関わる候補蛋白質の臨床検体および細胞株における発現: 昨年度までにiTRAQ法による網羅的解析にて、子宮体癌におけるタキサン製剤・アンスラサイクリン製剤・プラチナ製剤抵抗性に関わる蛋白質候補として、蛋白質Aと蛋白質Bを同定した。このうち蛋白質Aは、子宮体癌臨床検体60症例中29症例(48%)に発現を認めた。発現の有無・強度と臨床進行期との相関は認められなかった。また、子宮体癌細胞株においては9種類中5種類(56%)に蛋白質Aの発現を認めた。 ②蛋白質Aの発現と各種抗癌剤に対する感受性の相関: 蛋白質Aを発現する子宮体癌細胞株HEC1において、蛋白質Aの発現をsiRNAを用いて抑制したところ、パクリタキセルについてはIC50が有意に減少し(p<0.05)、パクリタキセルに対する感受性が改善され、蛋白質Aがパクリタキセル抵抗性に関与していることが示唆された。一方、エピルビシンおよびカルボプラチンについてはIC50に有意な変化は認められず、蛋白質Aはエピルビシンおよびカルボプラチンに対する抵抗性には関与していないことが示唆された。 ③蛋白質Aがパクリタキセル抵抗性に関わるメカニズムの解析: 子宮体癌細胞株HEC1において、蛋白質Aの発現をsiRNAを用いて抑制し、蛋白質発現の変化をiTRAQ法にて網羅的に解析したところ、パクリタキセル感受性との相関が既に示されている蛋白質Xの発現の減少が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
25年度計画はほぼ終了している。抗癌剤に対する感受性の評価をマウスを用いてin vivoで検証する研究については実施できていないのは、25年度に、先に、蛋白質Aがパクリタキセル抵抗性に関わるメカニズムの解析を開始したためである。26年度には、このメカニズムの解析を引き続き行う中で、マウスを用いたin vivo実験も実施していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
<平成26年度> 蛋白質Aのパクリタキセル抵抗性に関わるメカニズムの解析 (1)蛋白質Aの強制発現によるパクリタキセル感受性の変化、(2)蛋白質Aの強制発現による蛋白質Xの発現の変化、(3)蛋白質Xの発現抑制によるパクリタキセル感受性の変化、(4)蛋白質Xの強制発現によるパクリタキセル感受性の変化、(5) 蛋白質Aと蛋白質Xの相互作用の解析、(6)子宮体癌担癌マウスを用いた蛋白質Aあるいは蛋白質Xを標的とした治療の効果の検証 蛋白質Aの発現抑制によるパクリタキセル感受性の改善は既に証明できたが、逆に、蛋白質Aの強制発現によるパクリタキセル抵抗性の増強を検証する。またこれに伴う蛋白質Xの発現の変化等も解析する。さらに、蛋白質Xについても発現を抑制および増強し、それぞれでパクリタキセル感受性の変化を解析する。 次に、蛋白質Aと蛋白質Xの相互作用について、免疫沈降を行い、直接作用か間接作用かを解析する。最後に、マウスを用いて、蛋白質Aあるいは蛋白質Xが子宮体癌の化学療法感受性改善の治療ターゲットになりうるかどうかを検証する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究の進捗状況に合わせて物品を購入しているため、残額が生じた。 平成26年度実験計画に基づいて必要物品の購入を予定している。
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