研究課題
化学療法(TEC療法)が奏効した進行・再発子宮体癌組織および化学療法に抵抗性であった進行・再発子宮体癌において特異的に発現が増強または減弱している蛋白質を2種同定したが、そのうちAnnexin A4(Anx A4)については機能解析まで進展した。Anx A4が弱陽性である子宮内膜癌細胞HEC1を用い、Anx A4 cDNAを遺伝子導入し、安定発現株 HEC1-A4 株を樹立した。Anx A4の安定発現により、CisplatinのIC50は有意に上昇し、in vivo における Cisplatin 投与では有意に腫瘍増殖抑制率が低下した。Cisplatin暴露後の細胞内 Pt 濃度はコントロール株に比しHEC1-A4 株では有意に低下し、Pt 排出の促進がPt 耐性の原因と考えられた。また、Cisplatin暴露後 Anx A4とATP7A は共に細胞質から細胞膜へと局在を変え、共局在しており、HEC1-A4 株のCisplatin IC50はATP7Aのノックダウンによりコントロール株と同等の感受性にまで改善した。これらの結果よりCisplatin 投与によりAnx A4 は ATP7Aと細胞膜で共局在して、Pt 排出の促進に関与することが明らかとなった(Int J Cancer. 2014;134:1796-809、Expert Opin Ther Targets. 2014;18:403-14)。さらに、ANXA4のdeletion mutant安定発現株では、Cisplatin 投与によりIC50は有意に上昇したが、N末端側のannexin repeat を1個だけ有する株のCa2+結合部位が機能しなくなるpoint mutationを導入した株では薬剤耐性が誘導されなかった。これらのことから、ANXA4のプラチナ耐性には少なくともN末端側のCa2+結合部位が関与することが示された(Oncotarget. 2014;5:7776-87)。
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Int J Cancer
巻: 134(8) ページ: 1796-809
10.1002/ijc.28526
Expert Opin Ther Tar
巻: 18(4) ページ: 403-14
10.1517/14728222.2014.882323
Oncotarget
巻: 5(17) ページ: 7776-87