研究課題
基盤研究(C)
NAC1阻害剤については、ホモニ量体で機能するNAC1の、ダイマー形成を阻害することで、NAC1の機能を抑制出来ることを発見した。さらに、ダイマー形成ドメインであるBTBドメイン内の、ホモダイマー形成に最も重要なアミノ酸を同定した。このアミノ酸をアラニンに置換したものではホモダイマー形成が完全に阻害されることから、このアミノ酸残基をターゲットとした創薬開発を進めている。また、NAC1タンパクは、コンピュータ検索により最近同定されたBEN領域を有する。試験管内結合実験により、BEN領域を介してNAC1タンパクは直接DNAと結合することを証明した。試験管内結合実験によりNAC1タンパクはBEN領域を介してGADD45GIP1遺伝子のプロモーターに直接結合する事を発見した。現在、BEN領域については構造解析中であり、その結果を基にDNA結合能を阻害する低分子化合物のスクリーニングを予定している。さらに、新たな創薬のストラテジーとして、NAC1の核移行シグナルに着目した。NAC1は核移行シグナルでインポーチンと結合し核移行してることを同定した。核移行シグナルに変異を入れたNAC1を癌細胞株に遺伝子導入し、NAC1の機能が核移行依存性か否か検討した。内在性のNAC1をsiRNA処理するとGADD45GIP1の発現が見られるが、siRNA耐性のNAC1を遺伝子導入すると、GADD45GIP1発現は見られず、NAC1の機能はレスキューされた。さらに、siRNA耐性でかつ核移行シグナルに変異を入れたNAC1は、siRNAによる内在性NAC1の機能阻害をレスキューできなかった。即ち、核移行シグナルの機能がないNAC1は、核移行が出来ず、下流遺伝子であるGADD45GIP1の発現を抑制できなかった。
2: おおむね順調に進展している
NAC1の機能ドメイン解析が順調に進行している。現在、3カ所の機能ドメイン(ホモダイマー形成、DNA結合ドメイン、核移行シグナル)の同定、機能解析に成功している。
NAC1の構造解析のデータを基に、さらにin silico スクリーニングを行う。BENドメインに関してはタンパク質の安定化に成功したため、現在結晶解析を予定している。
H24年度は未使用額(1.157.994円)が生じた。これは、BENドメインの安定化に時間を要し、その先の実験へと進まなかったためである。ようやく安定化に成功したため、この未使用額を下記のタンパク質のFPLC解析にあてる予定である。NAC1とヘテロダイマーを形成するタンパク質をFPLC解析で同定中である。このタンパク質の同定のための諸経費にあてる。
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