研究課題/領域番号 |
24592521
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
本原 研一 熊本大学, 医学部附属病院, 非常勤診療医師 (50573606)
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研究分担者 |
宮原 陽 熊本大学, 医学部附属病院, その他 (40404355)
田代 浩徳 熊本大学, 医学部附属病院, 准教授 (70304996)
片渕 秀隆 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 教授 (90224451)
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キーワード | 卵巣癌 / 卵巣表層上皮 / 17β-HSD |
研究概要 |
われわれは、ヒト卵巣表層上皮(ovarian surface epithelium: OSE)細胞におけるエストロゲン代謝機構の解析を通じて、OSEに由来すると考えられている上皮性卵巣癌の細胞内局所のエストロゲン動態を明らかにし、卵巣癌における腫瘍発生について解明することを目的として研究を行っている。現在までの研究成果を報告する。 『ヒトOSEにおける17β-HSD(17-β-hydroxysteroid dehydrogenase) type1, type2, type4, type8の発現を調節する因子を検討する』 この解析を行う過程においては、健康成人女性のゲノムDNAから各17β-HSDのプロモーター領域を抽出し、ダイレクトシークエンスにて遺伝子配列を確認する必要がある。現時点では、これらの過程において正確な遺伝子配列を抽出することが困難であったことから、トラブルシューティングを繰り返しながら解析を進めているところである。正確な配列が確認された場合は、ルシフェラーゼ遺伝子をレポーター遺伝子として下流にもつベクターpGL3にサブクローニングを行う予定である。さらに、得られたベクターをヒト不死化OSE細胞株にトランスフェクションし、エストロゲンおよび抗エストロゲンを添加することで17β-HSD type1, type2, type4, type8の発現の変化を解析し、各17β-HSDsのプロモーターの転写活性調節機構を検討する予定としている。 一方、平行して行ってきた実験系にて、われわれはマウス卵巣においてEpCAM陽性細胞がsphere形成能を示し、OSEに存在するcytokeratin8陽性の上皮細胞への分化能を有することより、組織幹細胞様の性質を有していることを明らかにしている。今後は、EpCAM陽性細胞における17β-HSDの活性およびエストロゲンの発癌における影響について検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
われわれの研究グループでは、OSEに由来すると考えられている上皮性卵巣癌の細胞内局所のエストロゲン動態を明らかにすることで、卵巣癌における発癌機構を解明することを目的とし研究を進めている。これまでの解析において、成人女性のゲノムDNAから各17β-HSDのプロモーター領域を抽出しようと試みるも、現時点では正確な遺伝子配列を抽出することが困難であった。今後は、平行して行ってきた実験系によって確認されたマウス卵巣における組織幹細胞に注目し、それらの細胞におけるエストロゲン代謝機構の解析をすすめている。
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今後の研究の推進方策 |
これまで検討してきたように、成人女性のゲノムDNAから各17β-HSDのプロモーター領域を抽出し、ダイレクトシークエンスにて正確な遺伝子配列を確認した後に、ルシフェラーゼ遺伝子をレポーター遺伝子として下流にもつベクターpGL3にサブクローニングするための実験を継続して行う予定である。 一方、マウス卵巣の組織幹細胞として機能するEpCAM陽性細胞における17β-HSDの各タイプとエストロゲンの関連性について詳細な解析を新たにすすめていく予定である。
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