研究課題/領域番号 |
24592522
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
田代 浩徳 熊本大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (70304996)
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研究分担者 |
本田 律生 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (10301376)
本原 剛志 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 助教 (10457591)
齋藤 文誉 熊本大学, 医学部附属病院, 診療助手 (20555742)
宮原 陽 熊本大学, 医学部附属病院, 非常勤診療医師 (40404355)
片渕 秀隆 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 教授 (90224451)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 癌 / 子宮内膜癌 / 内分泌学的異常 / 遺伝子異常 / 癌治療 |
研究概要 |
熊本大学医学部附属病院にて加療を行った子宮内膜癌(EC)あるいはその前癌病変である子宮内膜増殖症(EH)を有する症例における身体プロフィール(身長、体重、BMI)ならびに内分泌プロフィール(エストロゲン、卵胞刺激ホルモン、プロラクチン、インスリン抵抗性)を検索し、若年者においては、高用量黄体ホルモン療法による治療抵抗性との関連を調べた。これまでに、EC/EH 症例には肥満、インスリン抵抗性、高プロラクチン血症を有することが確認された。若年 EC/EH 症例における高用量黄体ホルモン療法では、インスリン抵抗性を有する症例でホルモン療法に治療抵抗性がみられ、また、高プロラクチン血症を有する場合にはこれを加療することによりEC/EHの再燃が抑制されることが示され、第65回日本産科婦人科学会学術講演会(2013年5月10-12日、札幌)にて発表を行う。基礎研究面においては、マトリゲルを用いた3次元培養の準備はできたものの、子宮内膜癌細胞株ならびにヒト子宮内膜腺不死化細胞株を用いたエストロゲン投与実験でエストロゲンに対する反応性が乏しいことがわかり、これらの細胞株のエストロゲン受容体発現の著明な減弱が確認された。そのために、エストロゲン受容体発現ベクターを作成し、これらの細胞株に導入を試みたが、十分な発現が得られておらず、ベクターに用いたエストロゲン受容体遺伝子そのものに異常がみられることが判明した。in vitroでの実験の進捗状況が停滞していたために、肥満とECとのin vivoでの関連を調べるために、肥満マウスob/ob miceとEC 発症マウス mPTEN遺伝子改変ヘテロマウスを交配させ、肥満によるEC 発症の加速をみる検討を進めている。このin vivoモデルを作成することでメトホルミンの効果判定を臨床実地に近い状況下で実験的に検証することを可能とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床面における研究は順調に推移している。in vitroでの研究は上述したように、エストロゲン発現ベクター作成のトラブルで停滞しているものの、それ以上の成果が期待し得るin vivoでの代替え研究の予備実験では、良好な結果が得られ、今後、研究の進展に期待が持てると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの臨床研究を通して、肥満、特に、インスリン抵抗性が子宮内膜癌の進展に深く関与することが明らかにされた。今後、インスリン抵抗性に、より重きを置き、研究の軌道修正を行っていく。in vitroの研究は、再度、見直しを行うとともに、現在、それに替わるインスリン抵抗性を有する肥満マウスとPTENヘテロマウスを掛け合わせるin vivoの研究を推進していくことで、当初予定していたメトホルミン療法の実験的検証をより臨床に近いin vivoで行っていく。既に、少数のマウスによる予備実験では良好な成果が得られていることから、今回得られたデータをもとに数を増やしていくことで、in vivoにおけるインスリン抵抗性と子宮内膜癌との関連、さらには、その治療薬の開発へと繋げていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究においても、予定の研究費で、種々の抗体を購入し、臨床検体の免疫組織化学による内分泌受容体の発現状況を調べていく。in vitroの研究をさらに、再評価しながら、実験を進めていくとともに、肥満マウスと子宮内膜癌発症マウスの交配マウスを用いて、肥満による子宮内膜癌発症の加速を検討する。マウスは共同研究者より贈与を受けるために、新たなマウス代は発生しない。マウス飼育代、肥満マウス繁殖に必要なレプチン、マウス子宮の形態学的観察、in vivoモデルシステムにおけるメトホルミン投与諸費用、マウス内分泌プロファイルを行うためにかかる諸費用、遺伝子発現解析の諸費用等が必要になると考えられる。
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