研究課題/領域番号 |
24592522
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
田代 浩徳 熊本大学, 医学部附属病院, 准教授 (70304996)
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研究分担者 |
本田 律生 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (10301376)
本原 剛志 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 助教 (10457591)
齋藤 文誉 熊本大学, 医学部附属病院, その他 (20555742)
宮原 陽 熊本大学, 医学部附属病院, その他 (40404355)
片渕 秀隆 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 教授 (90224451)
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キーワード | 癌 / 子宮内膜癌 / 内分泌学的異常 / 遺伝子異常 / 癌治療 |
研究概要 |
臨床面においては、熊本大学医学部附属病院にて加療を行った子宮内膜癌(EC)あるいはその前癌病変である子宮内膜異型増殖症(EH)を有する症例における身体プロフィール(身長、体重、BMI)、内分泌プロフィール(エストロゲン、卵胞刺激ホルモン、プロラクチン、インスリン抵抗性)、遺伝因子(癌家族歴)を検索し、EC/ EH症例には肥満、インスリン抵抗性、高プロラクチン血症といった内分泌代謝異常を有する他、癌家族歴を高頻度に保有することが確認された。さらに、これらの因子が重複する場合とそれぞれ単独に存在する場合があり、これまで知られていなかった高プロラクチン血症単独因子で発症する症例群の存在が認められ、第66回日本産科婦人科学会学術集会(2014年4月18日-20日、東京)にて発表を行った。基礎面における、プロラクチンによる子宮内膜癌の発癌機序に関連して、プロラクチン受容体は子宮内膜の増殖期に強く発現し、その発現パターンはエストロゲン受容体(α)と相関したが、プロゲステロン受容体との相関はみられなかった。高プロラクチン血症のみを示す症例群で、血清プロラクチン値が15ng/mlを境に2群に分けると、15ng/ml以上の群で有意にエストロゲン受容体(α)の発現が高かった。また、高プロラクチン血症の症例の癌組織において癌抑制遺伝子のPTENの変異が少ない傾向がみられた。また、in vitro実験で、10ng/mlおよび200ng/mlの濃度のプロラクチンをEM-E6/E7/TERT子宮内膜細胞株および Ishikawa細胞に添加し48時間後に、免疫細胞化学的染色を用いてERαRの発現を添加前と比較すると、Ishikawa細胞のみにおいてエストロゲン受容体(α)の発現が増強した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床研究において、子宮内膜の発癌において、これまであまり知られていなかったプロラクチンの関与が強く示唆されてきたために、現在、プロラクチンを用いたin vitroの研究を前倒し的に行っている一方、エストロゲンならびにインスリン抵抗性に関する研究も進めている状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの臨床研究により、肥満、インスリン抵抗性、プロラクチン、遺伝因子といった多因子が相補的もしくは単独に子宮内膜癌の発癌、進展に関与していることが示されてきた。このデータをもとに、基礎的なdataの集積を行っていくとともに、臨床応用も視野に入れた研究に繋げていく。
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