研究課題/領域番号 |
24592527
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
長谷川 幸清 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (30534193)
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研究分担者 |
江口 英孝 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (00260232)
和田 智 埼玉医科大学, 医学部, 助教 (80438837)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 癌 / 遺伝子 / 発現制御 |
研究概要 |
卵巣がんはもっとも死亡率の高い婦人科がんであり、なかでも腹膜播種を伴う進行期ではプラチナ製剤、タキサン製剤の誕生により生存率の改善はある程度確認できたものの、多くの場合2年以内に再発しやがては化学療法耐性となり予後はきわめて不良である。そのため新しい治療法の開発や、臨床上有用なバイオマーカーの発見、さらには新規治療標的の同定は急務である。卵巣癌根治切除不能例に対するTC療法の新規投与法(dose-dense Paclitaxel/Carboplatin腹腔内投与併用療法)の有用性と安全性に関する予測因子を、外科手術組織を用いて網羅的マイクロRNA発現解析を行い、奏効性ならびに有害事象との関連を明らかにする。さらにすでに行った網羅的遺伝子発現解析とあわせて総合的な解析を行い、新規効果予測因子あるいは新規分子標的候補分子の検討を遺伝子発現解析ならびに培養細胞を用いたin vitro実験により行う。当該年度においては臨床検体の収集を継続し。患者情報および臨床病理学的情報、ならびに治療経過について統一しCRF(Clinical report form)を用いて集約し、これに基づき現時点での臨床データベースを作成した。卵巣漿液性腺癌40例、対照として漿液性境界悪性腫瘍4例、正常卵巣4例より、small RNAを含む分画でtotal RNA を抽出し、bioanalyzer でquality control を行った。続いて、マイクロRNAマイクロアレイを用いて網羅的な発現解析をアレイ画像情報解析用ソフトGeneSpring GXを用いて標準化を行い、解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度に計画していた研究内容については、検体の収集の継続、臨床情報のデータベース作成、臨床サンプルの処理まで、すべて計画通りに進んだ。マイクロアレイも予定通り施行可能であったが、現在アレイ画像情報を発現解析用ソフトGeneSpring GXを用いて標準化を行い、解析はまだ中途段階である。近日中に解析結果が明らかになるため、予定よりはやや遅れているが、おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今回の結果から卵巣癌において新しい機能性分子群であるマイクロRNAが臨床マーカーとして利用できる可能性を探る。今回の網羅的マイクロRNA解析の結果を、種々の臨床データと比較し、さらに網羅的遺伝子発現解析ならびに分子腫瘍学・バイオインフォマティクスの手法を用いて進行期卵巣がんに対するTC療法の新規投与法(dose-dense Paclitaxel/Carboplatin腹腔内投与併用療法)の有用性と安全性に関する予測因子を明らかにし、臨床マーカーとしての有用性について検討する。そのために、現在すでに症例集積した研究との別コーホートの症例についても発現解析を追加して検討する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
当院にて行われている卵巣がんに関する別コーホートの臨床研究、血中可溶性葉酸受容体アルファ測定による卵巣がん診断補助の有用性検討試験(IRB承認番号10-078)において集積された手術組織材料についても本研究の検証研究に利用できるようIRBに申請する。承認後、集積された手術組織材料よりRNAの抽出を行い、Agilent 2100バイオアナライザで泳動、品質チェックを行う。網羅的マイクロRNA発現解析の結果と奏効性や副作用、ならびにPaclitaxelの薬物動態学に関するパラメーターとの相関解析を行い、これらと関連するマイクロRNA候補の抽出を行い、上記のマイクロRNAに追加して定量的マイクロRNA発現解析を行う。上記で得られた因子について、まず単変量解析を行い、関連の高い因子の絞り込みを行う。さらに年齢などを考慮に入れたロジスティック解析を行い、奏効性ならびに副作用に関する独立因子を抽出する。次年度の1,300,000円に今年度の余剰24,755円を加えた、1,324,755円を用いて以上の研究を行う予定とする。
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