研究概要 |
HOX familyはDNA結合部位 (Homeobox domain)を有し,遺伝子転写を制御する遺伝子群である.HOXD9の子宮頸癌での発現と臨床病理学的因子との関連,および細胞増殖に与える影響を検討した. 正常子宮頸部組織10例および広汎子宮全摘術を施行したIb1-IIa期の子宮頸癌組織56例(扁平上皮癌:26例,腺癌:25例,神経内分泌癌:5例)について,HOXD9遺伝子の発現を定量的PCR法で検討し,臨床病理学的因子との関連をMann-Whitnny U検定で検討したところ、子宮頸癌組織では正常頸部組織に比して有意にHOXD9が高発現していた(中央値比2.2倍,p=0.003).組織型では神経内分泌癌で扁平上皮癌および腺癌に比して発現量が高かった(中央値比4.3倍,p=0.043).腫瘍径,浸潤深度,リンパ節転移,脈管侵襲の病理学的因子うち,HOXD9の発現量と関連していた因子は脈管侵襲であり,陽性例で有意に発現量が高かった(中央値比2.5倍,p=0.018). 子宮頸癌細胞株SKG-1,SKG-2,SKG-3a,SKG-3bでshRNAによってHOXD9の発現を抑制し,細胞増殖能に与える影響を検討した.4種の子宮頸癌細胞株でHOXD9の発現を抑制すると,SKG-1,SKG-3a,SKG-3b株では増殖が停止し,SKG-2株でも増殖が有意に抑制された
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