研究課題/領域番号 |
24592531
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
片岡 史夫 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (40306824)
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研究分担者 |
津田 浩史 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (00423880)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 子宮体癌 / マイクロアレイ解析 / 遊離DNA / 再発予測 |
研究概要 |
子宮体癌の遺伝子発現解析による再発予測モデルの構築 子宮体癌において,癌実質と間質の両者の遺伝子発現解析を実施し,癌実質および間質に共通して発現し再発に関与している遺伝子が多数存在し,重要であることを見出した.そして,選別した遺伝子よりカスタムアレイを作成して,重要遺伝子を20 個にしぼりこみ,68例で再発予測モデルを構築した.構築したモデルは現行の病理診断による再発リスク分類と比較して良好な精度であった.複数の施設より集積した子宮体癌136症例の凍結組織検体よりRNAを抽出した.抽出したRNA をAgilent Genomic DNA Enzymatic Labeling Kit (Agilent 社)にて標識し,カスタムアレイにて発現解析を実施し,再発予測モデルの精度および施設間の再現性を検証した.結果は,症例数を増加させた場合でも構築したモデルは現行の病理診断より効率的に再発リスクを予測可能であった.また,特にカスタムアレイによる再発予測モデルでは,再発低リスクに分類される症例が32%増加し,これらの症例では術後の化学療法を省略できる可能性が示唆された. 血中遊離DNA 測定による再発予測モデルの確立 保有している血清で,メチル化DNAを遊離DNAのサロゲートマーカーとして定量的PCRでの定量を進めている. 子宮体癌術前,術後1,3,7,14 日目の血清,当院外来管理中の体癌術後症例の血清を集積に関しては,当初計画の目標症例数(術前:80症例,外来管理:120症例)に到達した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
血中遊離DNA 測定による再発予測モデルの確立において,保有している血清でのメチル化DNAの定量作業の進行が遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
子宮体癌の遺伝子発現解析による再発予測モデルの構築 病理学的な再発低リスク・中リスク例の子宮体癌パラフィン包埋組織300 例よりRNA を抽出する.前年度に決定した遺伝子を対象として定量的PCR 法を施行し再発予測モデルを作成する.決定した遺伝子を対象に抗体を作成し,免疫組織化学的検討により候補遺伝子の蛋白レベルでの臨床的意義を確認する. 血中遊離DNA 測定による再発予測モデルの確立 保有している血清で,メチル化DNA を遊離DNA のサロゲートマーカーとして定量的PCR で定量し,特異性を検証する.
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次年度の研究費の使用計画 |
当施設では,本研究を遂行するにあったて必要な機器は全て慶應義塾大学医学部共利研中央機器解析部門に完備されており,設備備品の購入予定はない. 平成24年度は,当初予定していた血中遊離DNA 測定による再発予測モデルの確立において,保有している血清でのメチル化DNAの定量作業の進行が遅れているため,未使用額が生じたが,平成25年度に行う予定の研究計画とあわせて実施予定である. 平成25年度は, RNA 抽出関連費用として20 万円を見込んでいる.定量的PCR に関する費用として50-70万円を見込む.癌の再発予測が可能と考えられる遺伝子を抽出した後に,培養細胞株を用い当該遺伝子の強制発現あるいはsiRNA などによって,細胞の悪性度(増殖,浸潤能,移動能,造腫瘍能など)や薬剤感受性に対する変化を確認する.これに要する費用として細胞培養関連費用 10 万円およびsiRNA 実験関連費用 50 万円を見込む.
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