研究課題
大阪医科大学産婦人科で2006年から2013年までに外科的根治術および術後TC (paclitaxel + carboplatin)療法を行った患者の内、当院倫理委員会の承諾を得た書面にて同意を得られた109例(内卵巣癌42例、子宮内膜癌57例、子宮頸癌10例)を対象に行った。まず治療前と各TC療法後の動脈硬化リスク因子、脂質プロファイリングを測定し、TC療法に伴う変化を確認した。次にTC療法と動脈硬化の関係を検討するため、2006年4月~2010年3月にTC療法を行い、各TC直前直後で血流依存性血管拡張反応検査( flow-mediated dilatation:FMD)を行った28例をコントロール群とした。2010年4月~2012年5月までにTC療法を行った15例の内、TC療法中に高TG血症( TG>150 mg/dl )を呈した10例をフィブラート群としベザフィブラート®(Fib) 400mg /日を投与し、同様に各TC直前直後でFMDを行い、血管径の拡張率である%FMDを算出し、TC療法による血管内皮機能に対する影響を比較検討した。各群のTC療法前後の脂質プロファイリングの変化についても比較した。【成績】TC療法中の動脈硬化リスク因子の変化として、TC療法中に高TG血症を67%に認めた。特にTC2コース目以降、治療前と比べ有意な上昇を継続した。コントロール群で認められたTC療法直後の%FMDの低下がフィブラート群では認められず、TC療法による血管内皮障害が軽減された。また、TC療法中の血清中性脂肪値は%FMDと有意な負の相関を認めた。【結論】TC療法は血清TGの上昇と血管内皮障害をきたすが、Fibを投与することで血清TGの上昇を抑制し、TC療法誘因の血管内皮障害が予防できる可能性があることが臨床的検討で明らかとなった。以上の研究成果をInt J Clin Oncolにin pressとなった。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)
Int J Clin Oncol
巻: 0 ページ: 0
10.1007/s10147-014-0779-y