研究課題/領域番号 |
24592538
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
香取 幸夫 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20261620)
|
研究分担者 |
川瀬 哲明 東北大学, 医工学研究科, 教授 (50169728)
工藤 貴之 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (80451590)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | APC蛋白 / アクチン / 内耳蝸牛 / ラセン靭帯 / 線維細胞 |
研究実績の概要 |
最終年度の研究では、昨年度に引き続きマウス成体の蝸牛に発現するAPC蛋白の局在を凍結切片上で免疫組織化学法により評価し、ラセン靭帯近くの2型線維細胞に強く発現することを明らかにした。この細胞群は音刺激により振動する蝸牛基底版を蝸牛外側壁にアンカーする部位に位置しており、細胞内のアクチンの配列を規定するAPC蛋白が発現していることは線維細胞の剛性維持に合目的であると考えられた。 さらに、細胞小器官レベルでの発現部位を検討するために包埋前標識法による免疫電子顕微鏡観察を進めているが、標識抗体の到達性に難があり確定的な所見を得るに至っていない。埋後標識法に切り替えて、APC蛋白発現の陽性対照となるマウス腸管上皮の免疫染色を開始し、染色条件の設定をすすめている。これと並行して、成体および胎児期マウスの側頭骨パラフィンブロックを準備、薄切し、APC蛋白の内耳発生期の発現に関して検討を開始している。 加えて、直接的な試料や薬品の使用はありませんが、本研究の遂行中に得られた蝸牛感覚上皮の形態観察に関する技術と知見を参考にして、次頁にあげる内耳障害に関する2本の論文作成に役立てた。 今後は現在まで得られた所見をもとに、聴覚や平衡覚の感覚刺激受容時に振動する内耳の感覚上皮の剛性に関わる、アクチン蛋白の配列を規定するAPC蛋白の発現部位と発現時期の解析を継続する計画である。将来、アクチン配列の異常を示す先天性難聴や、蝸牛の形態破綻をきたす強大音による音響外傷に対して、APC蛋白関連遺伝子の導入による治療を模索する上で必要な基礎的情報を付与し得ると考えている。
|