研究課題/領域番号 |
24592539
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大島 猛史 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40241608)
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キーワード | 耳管開放症 / 耳管腺 |
研究概要 |
中耳・耳管粘膜の分泌を制御することは中耳炎発症機序の解明、そしてその治療および予防戦略に重要である。耳管粘膜から分泌される粘液に含まれる高分子糖タンパクのムチン、水チャネルであるアクアポリン、界面活性作用を持つサーファクタントタンパクなどが続々と同定され、耳管における分泌機構の解明が進みつつある。本研究ではマウスを用いて耳管腺の分泌を詳細に解析するとともに、臨床的に耳管障害を有する患者の耳管機能を解析することにより総合的に耳管粘膜の分泌機構を解明しようとするものである。耳管開放症は耳管周囲の組織圧減少がその一因となるが、単に組織のボリュームの減少だけでなく、その背景に耳管分泌の変化が示唆される。耳管開放症の診断基準はまだ確立していなかったが、多くの症例の耳管機能を検討することにより診断基準案を作成し、これを用いてフィードバックを行った。また、耳科開放症治療の第一選択は生理食塩水点鼻療法である。このメカニズムは液体による耳管内腔の物理的閉塞であるが、耳管分泌による耳管粘膜の表面の性状の変化も示唆される。これと耳管分泌との関連について検討を行い、臨床的な症例を集積している。マウスの耳管はヒトに比べ相対的に短いが、耳管腺はヒトと同様に存在する。組織を脱灰後染色し連続切片で耳管腺の分布を検討している。耳管腺培養については採取される組織量が少ないため、安定した培養を行うための条件を設定中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マウスの耳管腺培養実験では、採取される耳管組織の質、量が安定せず、条件を再検討中である。臨床的にヒトの耳管異常の解析は順調に症例集積されている。
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今後の研究の推進方策 |
マウスとヒトでは耳管構造に著しい差があり、臨床データの集積は基礎実験を補完する意味でも重要である。これまで以上に、動物実験と並行して耳管機能検査などの臨床データの解析を進めていく必要があると考えられた。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は耳管腺の病態を調べるため臨床データの集積を積極的に行った。マウスの耳管腺実験は遅れることとなった。次年度使用額は、当初計画していたマウス耳管腺生理実験を次年度に延期することによって生じたものである。 延期した動物実験に必要な経費として平成26年度請求額とあわせて使用する予定である。
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