研究課題/領域番号 |
24592543
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
齋藤 武久 福井大学, 医学部, 准教授 (10139769)
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研究分担者 |
成田 憲彦 福井大学, 医学部附属病院, 講師 (80345678)
伊藤 哲史 福井大学, 医学部, 助教 (90334812)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 鼓索神経 / 中耳手術 / 神経切断 / 茸状乳頭 / 味蕾の退縮 / 味蕾の再生 |
研究実績の概要 |
1.鼓索神経切断~茸状乳頭味蕾消失までの日数 中耳真珠腫患者の術前には電気味覚検査、共焦点レーザー顕微鏡による茸状乳頭内部の観察を行い、静止画像と動画として保存した。中耳手術中にやむを得ず鼓索神経を切断した症例に対して、手術の1~2日後に1回目、その後の2週間は1週間に2~3回、2~4週間後までは1週間に1回、4週目以後は味蕾が完全に消失するまで2~4週毎に検査を繰り返した。その結果、個人差が大きかったが、神経切断後2~10週間までの間に味蕾は完全に消失し、7症例の平均では完全消失までに約50日を要することが判明した。 2.鼓索神経切断~味蕾再生までの期間 上記7人の神経切断患者を、術後3ヵ月目から1年目までは月に1 回ずつ、その後2年目まで3~6ヵ月毎に検査を反復すると以下のような結果が得られた。まず、味蕾の再生は神経切断の5~8ヵ月後に始まり、徐々に味蕾数が増加していく症例、味蕾の再生は見られるものの、数の増加が頭打ちになる症例、味蕾が全く再生しない症例の3群に分かれた。また、味蕾の再生は舌縁で最初に観察されたが、その後、舌背の乳頭内に再生する症例、舌縁のみでの再生で終わる症例に分かれた。次に、電気味覚検査域値は神経切断後早期にスケールアウトになるが、味蕾の再生が始まって味蕾数が増加していくよりも、時間的に遅れて回復する傾向がみられた。 以上のように、ヒトの鼓索神経切断後に舌背の鼓索神経固有領域における茸状乳頭味蕾が約50日で完全に消失することを世界で初めて解明した。この研究成果はすでに英文誌に掲載された。さらに、味蕾が消失後、鼓索神経が再生して味蕾が再生するまでの期間は5~8ヵ月であること、その後の再生経過についての追跡も終了した。現在、英文誌に投稿準備中である。この味蕾再生までの期間解明に関しても、ヒトでは世界で初めての報告になる。
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