研究課題/領域番号 |
24592547
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
長谷川 信吾 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (30444607)
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研究分担者 |
山下 大介 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (60306785)
藤田 岳 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 医学研究員 (90533711)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 内耳 / メタボローム |
研究概要 |
モルモット(ハートレー系、オス、8週齢:250-300g)を用いた。まずモルモットを深麻酔下に断頭し、蝸牛を摘出した。その際、同時に血液も採取した。次に顕微鏡下に正円窓・卵円窓からマイクロピペットを用いて、内耳リンパ液を採取した(1匹2耳より約5-10μl)。採取した内耳リンパ液および血漿から水溶性代謝物を抽出し、フリーズドライ、誘導体化の過程を経て、最後にガスクロマトグラフィー質量分析計(GCMS-QP2010)にて代謝物を測定した。得られたデータは主成分分析にて内耳リンパ液に特異的な代謝物を検討した。 主成分分析の結果から、内耳リンパ液に特異的な代謝物が合計34種検出された。また、内耳リンパ液と血漿代謝物組成を主成分分析による多変量解析で比較すると両者の組成は有意に異なるという結果を得た。特にアスコルビン酸やイノシトールなど計12種の代謝物については有意に両者間で濃度差が見られた。アスコルビン酸にはフリーラジカルスカベンジャーとして音響外傷に対する内耳保護効果があることが報告されており、内耳リンパ液の代謝物として興味深い結果が得られた。 次に、モルモットに126dB SPLのオクターブバンドノイズを5時間加えることにより、永続的聴覚閾値上昇モデルを作成した。聴力はABRで測定した。音響暴露直後と24時間後の各タイムポイントで内耳リンパ液を採取し、質量分析計にて代謝物を測定した。今後音響を暴露しない群と比較して変動があった代謝物について調べる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は内耳リンパ液の採取手技を確立し、ガスクロマトグラフィー質量分析計を用いてモルモット内耳リンパ液の代謝物を網羅的に解析し、血漿から得られた代謝物と比較した。また、障害モデル(強大音響負荷モデル)での内耳リンパ液の代謝物組成の測定も行っており、以上のことからおおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は障害モデルから得られた内耳リンパ液の代謝物とコントロール群(音響暴露しない群)との比較、検討を行うことにより、内耳障害のさらなるメカニズムの解明および治療薬への開発に繋げたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度も動物購入代、飼育代、抗体・試薬各種、生化学(免疫染色等)関連消耗品を主体に本研究をすすめる予定である。また、成果をとりまとめるにあたっては国内外の学会発表や海外英文誌への投稿などを積極的に行う予定であり、その際の旅費、謝金、学会参加費に使用する予定である。
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