研究課題/領域番号 |
24592547
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
長谷川 信吾 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (30444607)
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研究分担者 |
山下 大介 神戸大学, 医学部附属病院, 准教授 (60306785)
藤田 岳 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (90533711)
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キーワード | 内耳 / メタボローム |
研究概要 |
Gas-chromatography/ mass-spectrometry(GC/MS)を用いてモルモットの内耳リンパ液のメタボローム解析を行った。また、強大音を負荷した直後の内耳リンパ液との比較も行った。その結果、29種類の代謝産物が同定され、うち6種類の代謝産物において強大音負荷後の内耳リンパ液で著明に変化がみられた。 モルモット(ハートレー系、オス、8週齢:250-300g)を用いた。まずモルモットを深麻酔下に断頭し、蝸牛を摘出した。その際に同時に血液も採取した。次に顕微鏡下に正円窓・卵円窓からマイクロピペットを用いて、内耳リンパ液を採取した(1匹2耳より約5-10μl)。採取した内耳リンパ液および血漿から水溶性代謝物を抽出し、フリーズドライ、誘導体化の過程を経て、最後にガスクロマトグラフィー質量分析(GCMS-QP2010)にて代謝物を測定した。得られたデータは主成分分析にて内耳リンパ液に特異的な代謝物を検討した。主成分の分析の結果から内耳リンパ液に特異的な代謝物が合計29種検出された。このうち、アスコルビン酸やイノシトールなど血漿中と比較してリンパ液中に有意に多く認める代謝産物が同定された。 次にモルモットに4kHz、 120dB SPLのオクターブバンドノイズを2時間加えることにより一過性の聴覚閾値上昇モデルを作成した。聴力はABRで測定した。音響暴露直後と24時間後の各タイムポイントで内耳リンパ液を採取し、質量分析にて代謝物を測定した。結果、アスパラギン酸、グルタミン、乳酸、グルクロン酸、ガラクトサミン、リンゴ酸の合計6種の代謝産物において有意に変化がみられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、内耳リンパ液中と血漿中の代謝物の比較や強大音負荷後の内耳リンパ液中の代謝物の変化を測定することにより内耳リンパ液に特異的な代謝物や音響外傷に関与する代謝物を検出することが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
この手法を用いることで、直接内耳リンパ液内での代謝物の変化を調べ、統計学的に検討することが可能になると考える。また音響外傷モデル動物における、内耳障害後のリンパ液中の代謝物の変化を探ることによりMetabolic pathwayから内耳障害におけるメカニズム解明につながるのではないかと考えている。さらに治療薬開発への応用も可能と考える。
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