今回用いたメタボロミクス解析という手法により、内耳リンパ液内の代謝産物を網羅的に初めて測定することができた。これらの代謝産物は、遺伝子やタンパク質と異なり、種特異性が無い点が特長である。そのため音響などの難聴モデル動物を作成して、内耳における代謝の変化を観察することは、ヒトでの難聴発生メカニズムや、治療法開発に直接繋がることが期待される。具体的には今回の手法を応用して、難聴モデル動物の内耳リンパ液内で増加している代謝物の経路をブロック、あるいは減少している物質を補充するといった方法で、難聴メカニズムの解明や治療法開発を目指して今後は研究を進めていきたいと考えている。
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