前庭と頸部屈曲が血圧調節に及ぼす役割を明らかにするため、前庭障害ウサギを用い、動脈圧、腎交感神経活動、頸部交感神経活動、脈拍数を記録した。頭部下方に45度姿勢を変化(Head-Down tilt、HDT)させ、さらにそのあと腹臥位で頸部を前方に屈曲し、動脈圧、交感神経活動、脈拍数の変化を調べた。 その結果、HDT負荷と頸部屈曲負荷は交感神経活動に影響を及ぼし、頸部と前庭受容器が姿勢変化時の血圧調節に関与することが示唆された。前庭が循環動態に及ぼす影響は圧受容器反射より早いことが示唆された。頸部受容器の入力の血圧応答に対する影響と前庭の血圧応答に対する影響を比較すると、垂直方向の体位変化で影響に差がみられ、前庭の影響が頸部屈曲の影響に比べ大きいことが分かった。体位変換時、前庭障害で明らかに呼吸運動の変調がみられた。そのメカニズムと意義については今後検討が必要である。胃体部・幽門部平滑筋電図については前庭破壊前後で明らかな差異がみられなかった。
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