研究課題/領域番号 |
24592550
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
西崎 和則 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (90180603)
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研究分担者 |
吉延 潤子 岡山大学, 医学部, 技術専門職員 (80448224)
折田 頼尚 岡山大学, 大学病院, 助教 (90362970)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 移植・再生医療 / 嗅覚組織 / 骨髄細胞 / 嗅球 / 神経回路 |
研究概要 |
我々は、嗅上皮に選択的に障害を引き起こすメチマゾール投与し、嗅細胞の細胞死に引き続いて嗅細胞とシナプス形成をしている嗅球の投射細胞が細胞死すること、この実験に骨髄細胞を加えると骨髄由来細胞が嗅球において大多数がクリア細胞にごく一部が投射細胞に分化することを報告しているが、再生神経細胞がどのように神経回路構築に関与するかは明らかでない。このため、嗅球の再生神経細胞よる神経回路構築の研究を3年間で予定しているが、平成24年度はN-methyl-D-aspartateを局所灌流して、嗅球投射神経細胞に細胞死を起こさせる濃度を検討した。 N-methyl-D-aspartateは、神経興奮毒性を持つが、嗅球において、嗅球の投射神経細胞に細胞死を惹起させることができるか否かは知られていない。このため、N-methyl-D-aspartateを生理食塩水で1。8μl(10mg/ml)に希釈し、C57BL/6マウスの前頭骨にホールを開けて右嗅球を灌流した。対照として、同じマウスの左嗅球を生食にて還流した。潅流3週間後に両嗅球を摘出して、成熟神経細胞のマーカーであるNeuNと神経膠細胞やマクロファージのマーカーであるIba1による免疫染色をそれぞれ行い、両嗅球における神経細胞および神経膠細胞の生存数を観察し、 N-methyl-D-aspartateによる嗅球の障害を比較検討した。これらの免疫染色の結果から、N-methyl-D-aspartate投与群においては、潅流の影響を強く受けた部位では、対照群に比較して嗅球の層状構造の乱れ、僧帽投射神経細胞層における細胞数の減少、神経膠細胞の増加が観察された。このことから、N-methyl-D-aspartate潅流によって、嗅球の神経細胞の細胞死および組織修復が起こっている可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の研究目標は、N-methyl-D-aspartateによる潅流で嗅球に障害を生じさせるか否か、また障害させるN-methyl-D-aspartateの濃度を決定することであったが、これらの目標は達成でき、平成25年度に予定していた実験が支障なく実施可能と考えられるため。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は予定通り、 N-methyl-D-aspartateを局所灌流後に骨髄細胞を投与して投射神経細胞の再生率が上昇するか否かを検討する。 レシピエント(C57BL/6)マウスに放射線照射を行い免疫寛容状態にする。GFPマウス骨髄の移植がすでに行われたレシピエントマウスの嗅球を1。8μl(10mg/ml)N-methyl-D-aspartateで局所灌流した実験群と生理食塩水で灌流したコントロール群に分け、さらにG―CSFを全身投与して、N-methyl-D-aspartate投与群でドナー骨髄由来細胞の再生投射神経細胞の再生率がコントロール群に比較して上昇するか否かをレシピエントマウス嗅球中のドナーマーカー(GFP)の発現を免疫染色により統計学的に解析する。さらに嗅球投射神経細胞のマーカーであるTBX21との2重免疫染色を行い、ドナー骨髄由来細胞が投射神経細胞に分化しているか否かを確認する。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品購入にあたり実際より安く購入できたため残金が生じてしまった。次年度にて実験に必要なマウス、薬品の購入にあてる。
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