研究実績の概要 |
我々は,嗅上皮に選択的に障害を引き起こすメチマゾール投与すると移植骨髄細胞が嗅球において大多数がクリア細胞にごく一部が投射細胞に分化することを報告しているが,再生神経細胞がどのように神経回路構築に関与するかは明らかでない.このため嗅球に障害を与えて嗅球の再生神経細胞よる神経回路構築の研究を行った.再生細胞の取り込み率を高めるため、神経細胞毒性を有するN-methyl-D-aspartateで嗅球灌流を行ったが、安定した結果を得られなかった。メチマゾールの反復投与(3回から5回)を行ったが嗅球および嗅上皮に有意な変化および投射細胞を細胞死の有意な増加を認められなかった.また,老化促進因子のエオタキシンを投与することで,嗅球の新生神経細胞が傍側脳室に存在する神経幹細胞から吻側移動経路(rostral migratory stream,RMS)経由で嗅球まで続く神経回路に影響を与える影響をコントロール群および老化抑制因子であるGDF(growth differentiation factor)11投与群と検討し,preliminaryではあるが,エオタキシンによって,嗅球において新生神経細胞数の減少が認められ,エオタキシン投与後によって実験モデルが構築される可能性が示された. また,GDF投与によって,移植細胞の嗅球への取り込み率の増加の可能性が示唆された. 他に,平成26年度から理化学研究所との共同研究を開始し,嗅神経切断によって,糸球体にレベルで嗅神経細胞だけではなく,僧帽細胞などの投射細胞から樹状突起にも対応(1つの嗅覚受容体および1つの僧帽細胞が特定の糸球体に収束の乱れが起こっていることが明らかになった(平成27年6月にthe 3rd Congress of European ORL-HNSにてMurai A, Nishizaki K, Imai T:Defective pre-target axon sorting during olfactory map regeneration after olfactory nerve transections発表予定).
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