研究課題/領域番号 |
24592553
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
小林 泰輔 高知大学, 教育研究部医療学系, 准教授 (30253313)
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研究分担者 |
兵頭 政光 高知大学, 教育研究部医療学系, 教授 (00181123)
小森 正博 高知大学, 教育研究部医療学系, 講師 (30565742)
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キーワード | 内リンパ水腫 / バゾプレッシン / アクアポリン |
研究概要 |
メニエール病の本態は内リンパ水腫であることが明らかになっているが、現在その根本的治療法はない。近年、内リンパ水腫の形成にバゾプレッシンを介した水チャネル・アクアポリンが深く関与していることが明らかになった。過去の実験から、ストレスホルモンであるバゾプレッシンが、蝸牛血管条でV2レセプター(以下V2-R)に結合し、アクアポリン2(以下AQP2)が発現することにより、内リンパに水が輸送され内リンパ水腫が形成されことが明らかになっている。これに基づいて、本研究ではこの水代謝機構に基づいたメニエール病の動物モデルを作成し、さらに新たな治療法を開発することを目的とした。 本研究では動物モデルとして、モルモットを使用した。内リンパ嚢の手術的に閉鎖し、3~4週間の飼育を行った後にバゾプレッシの投与を行い、内リンパ水腫のモデルを作成することを試みた。しかし実験中、手術や麻酔による動物の負荷が大きく、途中動物の死亡もありモデル動物の安定した作成ができなかった。 AQP2は内耳や腎臓で重要な機能を果たしていることが明らかになっているが、近年他にも多くのアクアポリンが発見されている。この中でアクアポリン11(APQ11)は比較的新しく発見されたアクアポリンであり、内耳にも局在して、水代謝に関与していると考えられている。そこで当初の実験計画をあらため、下記の「今後の推進法策」にそって、同じく内耳に存在すると考えられているAPQ11の局在と機能を検索する実験に変更して研究をすすめることにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の計画にそった実験は、複数回数の麻酔や手術侵襲などによる動物の死亡が主な原因で、実験モデルが安定して作成できていない。
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今後の研究の推進方策 |
当初の実験計画による研究の進展は困難であると思われるため、動物と手法を変更のうえ内耳における水代謝機構の解明を行いたい。すなわち、すでに作成されているアクアポリン11(APQ11)ノックアウトマウスにおいて聴覚・平衡機能と内耳形態の変化に関する検討を予定している。このマウスで聴覚機能を聴性脳幹反応(ABR)で測定した後、生体還流を行った後、内耳を採取して標本を作製し、HE染色で内耳形態と免疫染色によるAPQ11の局在を確認する。これらの結果を野生型マウスのものと比較検討する予定である。これによりAPQ11の内耳機能に及ぼす働きを明らかにすることができると考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験が当初の予定通り進行していないため、組織学的実験のための物品費および成果発表のための旅費が予定通り使用されていないため。 26年度、実験計画を変更するため、組織学的実験をすすめるに伴う動物や試薬の経費および学会発表のための経費にあてる予定である。
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