研究課題/領域番号 |
24592554
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
東野 哲也 宮崎大学, 医学部, 教授 (80145424)
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研究分担者 |
牛迫 泰明 宮崎大学, 医学部, 助教 (10185001)
長町 茂樹 宮崎大学, 医学部, 准教授 (40180517)
永野 由起 宮崎大学, 医学部, 医員 (50404405)
奥田 匠 宮崎大学, 医学部, 助教 (60404456)
福留 真二 宮崎大学, 医学部, 助教 (80404458)
後藤 隆史 宮崎大学, 医学部, 医員 (20600612)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 後迷路機能評価 / 人工内耳 / 高度感音難聴 / PET-CT / 電気蝸牛刺激検査 |
研究概要 |
人工内耳は高度難聴者の聴覚回復を可能とした画期的な難聴治療法であるが、その効果はらせん神経節細胞から聴覚中枢に至る後迷路の状態に依存する。これまで高度難聴者の後迷路機能評価には蝸牛電気刺激試験による聴覚心理学的評価が行われてきたが、客観性に乏しく、小児には施行不能であった。また、蝸牛電気刺激によるfunctional-MRI (fMRI)でも聴覚中枢の活動を画像で判断できたが、長い検査時間と検査時騒音などから対象が限定的であった。一方、ポジトロン断層法(PET)は検査時間の短縮が可能で、入眠下の施行もできることから、成人だけでなく小児においても後迷路機能評価、即ち人工内耳の装用効果予測に適する検査法と考える。 本研究の目的は、音声などの刺激による聴覚中枢の活動をPETで評価することにより、人工内耳の装用効果予測や、片側人工内耳装用者の対側後迷路機能診断法を確立することである。 平成24年度は、人工内耳手術予定の成人高度感音難聴症例3名で同意が得られ、定状状態(非刺激下)での脳FDG-PETと、予定術側耳からの電気刺激下の脳FDG-PETを施行した。結果を同年齢のコントロール症例と比較して、刺激の有無で脳糖代謝が有意に低下または増加している領域を画像統計処理(SPM)した。1例のみ定状状態での右上側頭回、右中心後回、右中心前回の各領域において有意な脳糖代謝の低下がみられたが、電気刺激時には正常コントロールとの有意差は消失した。左耳の電気刺激により、対側脳の右半球での有意差が消失したという事実は、刺激による聴覚関連領域の反応と解釈できる。3名それぞれについて、①非刺激時とコントロール群の比較、②電気刺激時とコントロール群の比較、③各自の非刺激時と電気刺激時の比較、ということで統計処理により比較を行ったが、いずれも②の電気刺激時とコントロール群との比較での有意差はでなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
小児でのセカンドインプラントの効果予測法を確立することが本研究の主旨であるが、今年度は該当する症例が存在しなかった。そこでまず、成人症例において、蝸牛電気刺激により脳の聴覚関連領域での糖代謝の増加がみられるかの確認の検査を行った。これまでの3例では、明らかに有意な結果は得られなかった。研究承認後から平成26年3月末までの3年間で20例を見込んでいたが、今年度の対象症例が少なかった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降も症例数を重ね、データの蓄積を図りたい。得られたデータは、聴覚関連の領域毎に別の方法で、例えば対一次視覚野との比較を行うなど、再度増加率を調べる方針である。
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次年度の研究費の使用計画 |
引き続きFDG-PETの注射薬剤等の購入に使用する予定である。ある程度症例が蓄積したら、学会などにて経過を報告していきたい。
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