研究課題/領域番号 |
24592559
|
研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
山中 昇 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (10136963)
|
研究分担者 |
田村 真司 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (10244724)
河野 正充 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (20511570)
保富 宗城 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (90336892)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | 急性中耳炎 / 肺炎球菌 / ワクチン / 血清型 |
研究概要 |
肺炎球菌は急性中耳炎の重要な起炎菌であり近年の薬剤耐性菌の増加とともに急性中耳炎の難治化が進行している。肺炎球菌由来抗原である莢膜多糖体(Cps)を迅速に検出するイムノクロマトグラフィ法を用いたキット(ODK-0901)、小児中耳炎患者の中耳貯留液、耳漏、小児副鼻腔炎患者の鼻咽腔ぬぐい液を検体としてその有用性を検討した。 肺炎球菌抗原は中耳貯留液中に33.3%、鼻腔洗浄液中に49.6%検出された。 中耳貯留液では細菌培養と比べて感度は81.4%特異度は80.5%陽性期待率 54.5%陰性期待率93.8%。鼻腔洗浄液では感度75.2%、特異度88.8%、陽性期待率91.0%、陰性期待率70.4%であった。肺炎球菌DNA量を測定するために肺炎球菌の表面蛋白であるpneumococcal surface protein A(PspA)遺伝子をreal time PCRで測定した。 中耳貯留液および鼻腔洗浄液中においてODK0901陽性群は陰性群に比べ有意にPspA遺伝子量が多いかった。また抗菌薬治療を既に開始していた場合細菌培養では菌が培養されないことはよく経験するが4週間以内の抗菌薬前治療がある群とない群を比較すると感度、特異度、陽性期待率、陰性期待率は両群間で差を認めなかった。またODK0901陽性群と陰性群どちらにおいても抗菌薬前治療あるなしでPspA遺伝子量に差を認めなかった。同様に鼻腔洗浄液においても抗菌薬前治療あるなしで比較すると特異度、陽性期待率、陰性期待率は両群間で差を認めなかったが感度は両群間で有意な差を認めた。ODK0901陽性群と陰性群どちらにおいても抗菌薬前治療あるなしでPspA遺伝子量に差を認なかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
次年度の実験を行うに当たっての基礎実験は完了したと思われる。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き急性中耳炎患児と反復性中耳炎患児を対象に、肺炎球菌特異的抗体の検討を行う。 血清中の抗PspA抗体価、ペニシリン結合蛋白遺伝子(pbp1,apbp2x,pbp2b)の遺伝子変異およびマクロライド耐性遺伝子(mefA,mefB)の発現の検討を行い、肺炎球菌ワクチンの導入による肺炎球菌の変化および宿主の肺炎球菌に対する免疫応答を比較検討する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
遺伝子発現の検討に用いるためのPCRおよびreal-time PCRを行うためその関連試薬および肺炎球菌の血清型を判定するための抗血清が必要となる。またパルスフィールド電気泳動法に関する試薬、ハウスキーピング遺伝子のシークエンス解析のための試薬が引き続き必要となる。
|