研究課題
耳科学・聴覚医学領域における次世代トランスレーショナルリサーチに向け、小型霊長類コモンマーモセットの耳科手術と末梢聴器~聴覚中枢の同時横断的機能評価系および難聴モデルを樹立することを主眼としている。H25年度の実績は以下の通り。1、耳音響反射(OAE)の最適化とその基礎データ収集ハーバード大Liberman博士の指導の下、同研究室で実績のあるEPL Acoustic System Assemblyに準じたハードウェアに、自動キャリブレーションなどを含めたソフトを作成した(研究協力者原田博士による)。2、上記により確立したシステムでコモンマーモセットの複数のstrain (inbred、 野生種、雑種などを含む)での聴力をOAEによって測定した。その結果、strain間での差が予想外に大きいことが判明し、したがって機能評価を含めた研究に際してはclosed-colony (inbred)での解析がほぼ必須であることが示唆された。3、上記、OAEハードウェア開発機器の応用により、プローブによって安定して強大音を負荷するシステムをハードウェア的に立ち上げた。これを用いて来年からマーモセット音響外傷モデルを作成し、その聴覚中枢の変化の検討と、蝸牛有毛細胞再生治療剤の効果を検討する。
3: やや遅れている
1、一昨年度(初年度)においてOAE樹立が部品調達面で遅れ、聴力解析システムが昨年度ようやく確立した。この影響で一連の研究が約半年強後ろへずれ込んでいる。2、上記により確立したシステムでコモンマーモセットの聴力を測定したところ、strain間での差が予想外に大きいことが判明し、したがって機能評価を含めた研究に際してはclosed-colony (inbred)での解析がほぼ必須であることが示唆された。このため個体の確保が予定したよりかなり難しくなり、研究の進行を妨げている。3、他方、OAEハードウェア開発機器の応用により、マーモセット音響外傷モデルが比較的に簡便に作れる可能性が出てきた。
上述のよう、OAEハードウェアを応用して、音響外傷モデルを樹立する。当初予定していた薬剤性難聴モデルよりもはるかに簡便に作成ができるものと予想される。このモデルにおける聴覚中枢の変化を拡散テンソルMRIで評価するとともに、先日我々がNeuron誌に報告した蝸牛有毛細胞再生療法を試みる。
1、初年度の聴力測定装置用パーツの納品遅れが理由で、聴力測定系の確立が遅れた。これにより研究全体が約半年後ろにずれ込んでいる2、予想外にstrain間での聴力に差が大きいことが判明したため、実験をinbredのコロニーで行うことが必須となった。そのためマーモセット個体の調達が難航しており、実験が遅れている。個体が確保され次第実験を行い、その際に使用する。(1匹約35万円のため、N=3分を繰り越している)
すべて 2013 その他
すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (9件) (うち招待講演 1件)
日本臨床
巻: 71 ページ: 2215-2222