研究課題/領域番号 |
24592561
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
小林 一女 昭和大学, 医学部, 准教授 (20234841)
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研究分担者 |
野垣 岳稔 昭和大学, 医学部, 助教 (10384463)
野村 恭也 昭和大学, 医学部, 客員教授 (30009948)
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キーワード | 内耳 / レーザー手術 / 良性発作性頭位めまい症 |
研究概要 |
良性発作性頭位めまい症は理学療法は有用であるが、中には難治性もある。そのような症例に対し、レ-ザ-を用いた半規管分断術が行われる。膜半規管を閉塞することが本手術の目的である。レ-ザ-で骨迷路を焼灼し、その際に生じる熱が膜半規管を収縮、閉塞させ、内リンパの動きが止まることでめまいが収まる。本研究の目的はこの手術の臨床応用にあたりレ-ザ-照射で半規管の温度がどのように変化するのか、熱の膜迷路に及ぼす影響、効率のよい照射法を検討することである。 平成24年度はヒト乾燥側頭骨を用いて実験を行った。今年度はホルマリン固定後のヒト側頭骨を用い、昨年度と同様のレ-ザ-照射実験を行った。側頭骨を削り、外側、前、後半規管のブル-ラインを確認し、グリ-ンレ-ザ-を照射した。その際半規管の一部を開窓し超極細熱電対(直径0.08mm)を挿入した。同時に前庭窓にも熱電対を挿入し温度測定を行った。使用したレ-ザ-の波長は532nmである。照射条件は1.5~1.7W、照射時間は0.5~3秒である。照射後の側頭骨は標本を作製した。 結果レ-ザ-を骨半規管に1回照射(1.5×2sec)すると内部の温度は約50℃に上昇する。連続して同一部位に照射すると、内部温度は加算されて上昇し、最高90℃迄上昇する。骨表面に黒点をつけて照射すると、1回の照射で骨が焼け、蒸散する。 レ-ザ-照射時、前庭内の温度に変化はない。安全な方法である。内部の温度は表面骨の厚さに影響されることがわかる。実際の手術ではできるだけ骨表面を薄く削ることが大切である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ヒト側頭骨を用いた実験は乾燥側頭骨、ホルマリン固定後の側頭骨の2種類で行うことができたが、モルモットを用いた実験がまだおこなえていない。
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今後の研究の推進方策 |
モルモットの半規管にレーザー照射を行い、その際の半規管内の温度変化を測定する。その後膜迷路の変化を組織学的に検討する。 モルモットをpentobarbital sodium (30 mm/kg) で麻酔する。中耳骨胞を開け、外側半規管、後半規管を明視下におく。超極細シース熱電対 (直径 0,08 mm)を挿入する。グリーンレーザーで半規管に照射をおこなう。照射後、固定、脱灰して顕微鏡下に膜迷路を取り出し、膜迷路の収縮の程度を観察する。照射による膜迷路の変化を組織学的にも検討する。ヒトと比べ、モルモット半規管はかなり小さいため、微細な手術機器を要する。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度の実験に用いたレーザーは購入予定であったが、購入せずに借用することで実験ができたために次年度使用額が生じた。 レーザー機器の購入、動物実験を行う際の微細は手術機器の購入、論文投稿の費用とする。
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